発明提案書の作成における発明の内容を説明するための用語の選定方法は?
Q:
発明提案書の作成に関し、発明の内容を説明するための用語の選定について教えてください。
A:
質問の内容に関し、特許法施行規則様式29〔備考〕7,8には以下の内容が記載されています。(備考7)技術用語は、学術用語を用いる。
(備考8)用語は、その有する普通の意味で使用し、かつ、明細書全体を通じて統一して使用する。特定の意味で使用しようとする場合には、その意味を定義して使用する。
特許明細書の作成では、上記内容が基本となります。このため、発明提案書(明細書作成の基礎となる資料)においても、発明の内容を説明するための用語として、『学術用語』または『普通の意味で使用可能な用語』を選定するのが適切です。つまり、平易な言葉を用いることが最適です。
『学術用語』としては、例えばJIS規格に記載された用語を挙げることができます。
また、『普通の意味で使用可能な用語』としては、一般的な国語辞典(例えば広辞苑)に掲載された用語を挙げることができます。
発明の内容を説明するための用語として、『特定の意味』を用いる場合は、その用語の『定義』を、発明提案書に可能な限り詳しく記載することが望ましいです。参考として、知財高裁の判例(平成18年(ネ)第10007号 損害賠償請求控訴事件)では、裁判所の判断において、「明細書の用語が常に学術用語であるとは限らず,その有する普通の意味で使用されているとも限らないから,特許発明の技術的範囲の解釈に当たり,特許請求の範囲の用語,文章を理解し,正しく技術的意義を把握するためには,明細書の発明の詳細な説明の記載等を検討せざるを得ないものである。」と指摘しています。
なお、『特定の意味』として、特許業界の慣習的な特許用語(わかりにくい用語)を選択するときは、一般的な国語辞典を調べた上で、発明の内容を正しく表現できているかどうか、という点を確認する必要があります。仮に特許用語を選択した結果として、第三者(例えば特許庁の審査官、裁判官)に誤解されるおそれがあると感じた場合は、その用語の使用を避けた方が無難です。
以上のとおり、発明の内容を説明するための用語として、『学術用語』または『普通の意味で使用可能な用語』をお勧めします。
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