知財・無形資産の開示のガイドブック「企業成長の道筋」を、特許庁が発行
今回は、特許庁が発行したガイドブックについて紹介します。
2021年に改正されたコーポレートガバナンス・コード等の要請により上場企業等では知財・無形資産の開示の充実化が要請されています。しかし、企業と投資家との間で視点のギャップがあるため、充分な開示がなされていないという現状があるようです。
そこで、特許庁は、4月28日にこの視点のギャップを埋めるべく「企業成長の道筋~投資家との対話の質を高める知財・無形資産の開示~」というガイドブックを発行しました。

出典:特許庁HP「『企業成長の道筋~投資家との対話の質を高める知財・無形資産の開示~』について」
https://www.jpo.go.jp/support/example/ip_disclosure_for_stakeholder.html
このガイドブックは、実際に存在する企業(3社)に専門家チームが「現地調査」を複数回行って、開示資料の作成支援を行った際の議論を細かく紹介して、この内容を参考にしてもらう、という形でガイドブックが作られています。特許庁としては、ガイドブックとして、ある程度の骨格(フレームワーク)を作りたかったと思いますが、各企業で「本質的な強み」が異なるため、こうした形になったのだと思います。
今回、このガイドブックを読んで感じたのは、知財担当者にとっては初見の経済用語(PBR、ROE等)が多いため、読むこと自体、苦労するだろうなということです。
もっとも「投資家目線で自社の経営戦略や知財戦略を明確にしておく」という必要性は、企業情報を公開する上場企業だけでなく、中小、零細企業、さらに、投資を受けたいスタートアップ企業においても、同じだと思います。
このガイドブックから、「目の前の製品やサービスを『どのようにして』守るか?」ではなく「企業活動の『どこを』守るか?」が大事であることが分かると思います。
是非ご一読頂き、「投資家目線」で自社の経営戦略や知財戦略を明確にして頂き、これからの知財活動に活かして頂ければと思います。
▶ガイドブックの無料配布について
全国47都道府県に設置している「知財総合支援窓口」や各経済産業局等の「知的財産室」において、6月 下旬以降に無料で冊子版が配布されます。配布数には限りがあります。
▶ガイドブックpdfダウンロード
https://www.jpo.go.jp/support/example/document/ip_disclosure_for_stakeholder/all.pdf