国際特許分類とは?
Q:
先日、特許事務所に特許出願をお願いしたところ、過去と同じ技術分野であったにもかかわらず、国際特許分類が変更されていました。
①そもそも、国際特許分類とはどのようなものでしょうか?
②何故、国際特許分類が変更されていたのでしょうか?
A①:
国際特許分類(IPC)とは、国際的に統一されて用いられている、特許文献の技術内容による分類です。世界知的所有権機関(WIPO)が管理する国際特許分類に関するストラスブール協定に基づいて作成されています。
例えば、公開特許公報の左上の「Int.cl.」とある下に記載された記号がIPCです。
IPCとして、A01B 1/02が付与されているとします。この場合、「A」をセクション、「A01」を(メイン)クラス、「A01B」をサブクラス、「A01B 1」をメイングループ、「A01B 1/02」をサブグループと呼びます。
セクションは、特許の対象となる全技術を8つに大別した分類記号です。クラスはセクションの細分化、サブクラスはクラスの細分化とサブグループまで順次、分類が細分化されていきます。
上記の例では、「A」は生活必需品、「A01」は農林水産業等、「A01B」は、農林水産業等で用いされる機械、器具等、「A01B 1」は「A01B」における手作業具、「A01B 1/02」は鋤、ショベルを意味します。
このように技術分類を細分化して符号を付与することで、特許検索等の効率化が図れます。また、IPCは世界各国で共通で使用できます。
A②:
技術の進展により、一度決めた分類をさらに細分化する場合があります。また、同じ技術分野に属する特許数が膨大になったり、新規技術が開発されたりする場合、新たに特許分類を付与する必要が生じます。
これらの事情を考慮して、WIPOでは、毎年1月にIPCの改訂を行っています。多くの場合は、改訂内容は、メイングループまたはサブグループの細分化に留まりますが、数年に1回程度でクラスやサブクラスが新設されることがあります。
最近の例で言えば、半導体装置や他に分類されない電気的固体装置に関するクラス「H10」が2023年に新設され、サブクラスもその後、順次新設されています。
例えば、従来、受光半導体装置に付与されていた「H01L 31」が「H10F」に、発光半導体装置に付与されていた「H01L 33」が「H10H」に切り替わっています。
IPCの改訂は改訂前に発行された公開特許公報等には反映されないため、ご自分でIPCを用いた検索式を立てて特許調査を行う場合、改訂情報を適宜反映させることが必要になります。
なお、改訂情報が反映された公開特許公報は、改訂後1年半たってから順次公開されます。
その他:
日本特許庁はIPC以外に独自の分類記号(FI、Fターム)を公開特許公報等に付与しています。このうち、FIはIPCをベースとして作成されています。
IPCの改訂に伴って、FIも改訂されます。FIを特許調査用の検索式に利用している場合も、IPCの改訂に留意が必要となります。
IPCに関する一般的情報は下記を参照願います。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E7%89%B9%E8%A8%B1%E5%88%86%E9%A1%9E
https://www.jpo.go.jp/news/kokusai/developing/training/textbook/document/index/Knowledge_of_Patent_Classifications_2013_jp.pdf
また、J-PlatPatからIPC(最新版)の一覧に進んで、内容を見ることもできます。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/p1101

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