企業の資金調達の新しい方法「企業価値担保権」が始まる
今月は、先月25日から運用が開始された「企業価値担保権」について紹介します。

出典:金融庁HP(https://www.fsa.go.jp/policy/kigyoukachi-tanpo/index.html)
「企業価値担保権」とは、従来、不動産担保や経営者保証等に限られていた資金調達の方法を、ノウハウ、特許権、さらには顧客基盤等の無形資産を含めて、事業を一体として評価して「企業価値」として、担保権として扱うことができるようにした資金調達(融資)の方法です。
この企業価値担保権は、「事業性融資の推進等に関する法律」で制定された担保権(物権)であって、対抗要件は、商業登記簿に登記することで発生します。土地等の不動産に抵当権を付ける場合、不動産登記簿に登記することで対抗要件が発生することと同じです。
今までも、特許権等の知的財産権に「質権」を付けたり、その他の無形資産に「譲渡担保」をつけて、金融機関が企業に融資を行うことがありましたが、知的財産権の価値が分かりにくい、また対抗要件が明確でない等の理由により、今まであまり積極的に使われていなかったと思います。
今回、「企業価値担保権」が制定されたことで、これまで不動産等がなく資金調達が難しかった中小、零細企業にとっては、資金調達がやや容易になると思います。
もっとも「やや容易」としたのは、金融機関が、企業の返済が滞って、企業価値担保権を実行する場合には「その企業を第三者に譲渡して、その譲渡金から返済に充当する」という方法を取るのですが、果たして、返済が滞った赤字企業を、買い受ける第三者が存在するのか?という、素朴な疑問が残るためです。
なお、企業の知財担当者としては、この「企業価値担保権」について、技術ノウハウ等の無形資産を特許権等という「財産」にすることで、「企業価値担保権」の担保価値(企業価値)を高めていると思い、日々仕事を行えば良いと思います。
