知財功労賞(意匠)を受賞したトヨタの「立体商標」活用の動き

 今月は、令和8年度の知財功労賞(意匠)を受賞したトヨタ自動車が、プリウス等の複数の車種を「立体商標」で保護しようしている動きについて、紹介します。

出典:商願2025-111517の公開公報

 トヨタ自動車は、4月に令和8年度の知財功労賞(意匠)を受賞しました。
 https://www.jpo.go.jp/news/koho/tizai_koro/document/2026_tizai_kourou/award_19.pdf

 受賞理由は、トヨタ自動車が近年進めている一貫性のあるデザインである「ハンマーヘッド」やレクサスブランドの「スピンドルボディ」等を、意匠制度の関連意匠や部分意匠を使って、効果的に保護していることが特許庁に認められたためです。

 トヨタ自動車が意匠登録したものを確認してみると、確かに、近年かなり多くの意匠を出願し、登録しており、2023年が107件、2024年が116件、2025年が124件(4月28日現在)と年間100件以上の意匠を出願し、登録しています。
 もっとも、トヨタ自動車は、こうした意匠だけでなく、各車種の形状を、そのまま「立体商標」で保護しようとしています。知財功労賞では、この点も含めて評価されています。私は、昨年、立体商標の出願状況を調査した際に、こうしたトヨタ自動車の動きを知っていました。

 立体商標とは、特定の「指定商品・指定役務」について「立体的形状」を登録するものです。通常は、ペコちゃん人形やカーネル・サンダース人形のような立体広告物を「飲食物の提供」等の指定役務や指定商品に限定して、権利化します。

 しかし、トヨタ自動車は、「指定商品」を「自動車」として、上図のようなプリウスの立体的形状や、GRヤリスの立体的形状(商願2025-111519)、ハイエースの立体的形状(商願2025-114776)等を出願しています。
 すなわち、各車種の形状をそのまま立体商標で保護しようとしているのです。現時点で、まだ登録されたものはありませんが、日本の自動車メーカーで、自社商品の形状を立体商標でそのまま保護しようとする動きは、これまであまり見られませんでした。

 現在、大手自動車メーカーでは、自社商品の形状を意匠だけでなく「立体商標」で保護しようとする流れがある、ということを知財担当者として認識しておくべきだと思います。

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