特許庁により公表された災害等発生時における手続救済及び特許庁業務継続の基本的な考え方
1.イントロダクション
近年、日本では地震、豪雨災害、新型コロナウイルス感染症など、さまざまな大規模災害や予期せぬ事態が発生しています。これらの状況は、出願人、特許権者、代理人に大きな影響を及ぼし、日本特許庁(JPO)に対する法定期限の遵守が困難となる場合があります。
このような状況に対応するため、JPOは「災害等発生時における手続救済及び特許庁業務継続の基本的な考え方」を公表しました。本指針は、緊急時における手続救済措置やJPOの業務継続に関する予見可能性および透明性を高めることを目的としています。
本稿では、JPOの基本方針の概要と、出願人および外国代理人にとっての実務上の意義について簡単にご紹介します。
2.災害発生時における基本方針
JPOによれば、災害、感染症その他の不可抗力によって出願人または代理人が期限を遵守できない場合には、手続救済措置が認められる可能性があります。
JPOは本方針において、以下の重要な点を明確にしました。
・大規模災害や緊急事態が発生した場合、JPOは可能な限り速やかに、救済措置の有無や適用範囲をウェブサイト上で公表すること
・救済措置には、期限延長や、出願人または代理人の責めによらない理由による手続遅延に対する権利回復が含まれ得ること
・広く認識される大規模災害の場合には、証拠書類の提出省略や、遅延理由説明の簡略化など、手続要件が緩和される場合があること
・海外の知財庁における対応状況も考慮し、感染症その他の緊急事態に際して外国知財庁が救済措置を導入して いる場合には、JPOも必要に応じて対応措置を講じる可能性があること
実際にJPOは、新型コロナウイルス感染症対応や2024年能登半島地震などに関連して、各種救済措置を実施しています。現在も、JPOの災害関連ページにおいて、利用可能な救済措置や緊急時の手続取扱いに関する情報が随時更新されています。
3.まとめ
本指針は、JPOが緊急時においても特許庁業務を継続しつつ、柔軟性と手続的公平性を確保しようとしている姿勢を示すものです。外国出願人および外国代理人にとっても、本指針は、期限や通信に影響を及ぼす予期せぬ事態が発生した際に、JPOがどのように対応するかについての予見可能性を高める点で重要といえます。
もっとも、救済措置の適用可否や範囲は、各災害・緊急事態の具体的事情によって異なる可能性があります。そのため、期限遵守に支障が生じる場合には、JPOの公式発表を注意深く確認するとともに、日本代理人へ適宜相談することが推奨されます。
JPO Website:
https://www.jpo.go.jp/news/koho/saigai/index.html
