韓国特許制度の概要

韓国特許制度の概要

発明の保護対象

「発明」とは、自然法則を利用した技術的思想 の創作として高度のものをいう。
算術・計算方法や商品の陳列方法のようなものなどは発明として認定されず、永久機関のような自然法則に反するものも特許法下の発明の保護対象に含まれない。また、単純な発見や自然現象自体は特許法上の保護対象ではない。
人間の治療方法、診断方法は産業上の利用可能性がないとして特許を受けることができない。

先願主義

韓国語、英語のみ(2015年1月1日施行の改正で英語での外国語出願が可能となった)。
外国語出願の場合、優先日から1年2カ月以内に韓国語翻訳文を提出する必要あり(不提出の場合は出願取り下げと見なされる)。 外国語出願は、韓国語翻訳文を提出するまで明細書の補正、分割、変更、審査請求できない。

(注)PCTの場合、韓国特許庁が受理する国際出願言語は英語と国語(韓国語) PCT翻訳文提出期間は31ヶ月。
韓国では、翻訳文提出特例期間はなく、優先日から31ヶ月内に訳文を提出する。2015年1月1日以降に出願された国際出願の場合、国内書面提出期間満了日の1カ月前~満了日までの間に延長申請すれば、翻訳文提出期間を1カ月延長できる。

 

出願に関する料金

2015.01.13基準(いずれも電子手続きの場合の料金)
*(特)特許 (実)実用新案

・出願料:  電子出願(オンライン、FD) (特) ₩46,000 (実) ₩20,000
・外国語出願料: (特)₩73,000 (実)₩32,000
・PCT出願の韓国語翻訳文の提出期間延長料: (特、実とも)₩20,000
・審査請求料: (特)基本料 ₩143,000+1クレーム毎₩44,000加算  (実)基本料 ₩71,000+1クレーム毎₩19,000加算
・優先権主張: 申請料 ₩18,000+1優先権主張毎 ₩18,000 加算
・優先審査申請料: (特)₩200,000、(実)₩100,000

*料金は最新のものではない可能性があることにご留意ください。

 

出願審査請求制度

あり。
出願日から3年以内(2017年3月1日以降の出願に適用)。
ただし、最大2年間の審査猶予制度の活用が可能。2017年3月1日より前の出願の審査請求期限は出願日から5年。
例外として原出願日から3年が経過して分割出願を行った場合は、分割出願日から30日以内に審査請求可能。
また、冒認出願の出願日から3年経過後に正当な権利者が出願した場合、出願日から30日以内に審査請求することが可能(2013年3月22日以降の出願)。 これらは、原則的に期間経過のため審査請求が不可能になった分割出願を救済するための特則。

早期審査制度

優先審査(特許法第61条第1号、第2号)
・第三者が業として特許出願に係る発明を実施していること、及び
・出願公開されていること、の要件を満たす場合、優先審査の対象となる。また、第三者が実施したり、出願公開されていなくても、

 ①防衛産業分野に関する特許出願、
 ②グリーンテクノロジー関連の特許出願、
 ③輸出促進に直接関連する特許出願、
 ④国家または地方自治の団体職務に関する特許出願、
 ⑤ベンチャー企業の確認を受けた企業の特許出願、
 ⑤’技術革新型の中小企業として選定を受けた企業の特許出願
 ⑥国家の新技術開発支援事業または品質認証事業の結果物に関する特許出願
 ⑦条約による優先権主張の基礎となる特許出願、
 ⑧特許出願人が特許出願された発明を実施し、または準備中の特許出願、
 ⑨電子取引と直接関連する特許出願、
 ⑩特許庁長が外国特許庁長と優先審査することに合意した特許出願、
 ⑪優先審査の申請をしようとする者が特許出願された発明に関して法第58条第1項による専門機関に先行技術の調査を依頼した場合で、その調査結果を特許庁長に通知するように該当専門機関に要請した特許出願に該当する場合には、優先審査の対象となる。

原則として、優先審査請求時に先行技術調査結果と、先行技術文献との対比説明とを提出する必要がある。

特許審査ハイウェイ(PPH)
上記⑩に該当。第1国で特許登録され、両国に出願された特許請求範囲が同一の場合、PPHを申請できる。先行技術調査結果の提出は不要。
PCT出願のうち、日本国特許庁又は韓国特許庁が国際調査機関又は国際予備審機関として特許性を有するとの見解に基づいて韓国又は日本へのPPHの申請も可能。また、第1国に限らず先に登録された国での審査結果を利用できるPPH Mottainaiの申請も可能。2014年1月1日から、グローバルPPHの試行プログラムが開始されている。

 

新規性の判断

・特許出願前に国内または国外で公知された発明、公然実施された発明。
・特許出願前に国内または国外で頒布された刊行物に掲載された発明、大統領令で定める電気通信回線を通じて公衆利用可能になった発明。

新規性喪失の例外規定

あり。適用要件は日本と同様。すなわち、特許を受けることができる権利を有する者が韓国国内または国外で公知にした発明(出願公開や特許公報に掲載された場合を除く)、特許を受ける権利を有する者の意に反して公知にされた発明について適用される。新規性を喪失した日から12月以内に出願すれば、当該例外規定の適用を受けることができる(2012年3月15日施行)。
なお、2015年7月29日以降に出願された韓国出願、2015年7月29日以降に出願された国際出願の韓国移行出願については、(1)補正可能期間、及び(2)特許査定又は拒絶査定取消審決(登録を決定した審決に限る)の謄本の送達日から3カ月以内もしくは設定登録日のうちの早い方の期間に新規性喪失の例外を主張できるようになった。

クレーム/明細書の記載要件

・クレームの記載要件(特許法第42条第4項等)
クレームは、発明の説明により裏付けられている必要がある(サポート要件)。
クレームには、発明が明瞭かつ簡潔に記載されている必要がある(明確性要件)。
クレームは、複数のクレームを引用する形式が認められるが、いわゆるマルチのマルチ(複数クレームを引用する複数のクレームを引用すること)は認められない(特許施行令第5条第6号)。

・明細書の記載要件(特許法第42条第3項)
明細書は、当業者が発明を容易に実施することができるように明確かつ詳細に記載する必要がある。

発明の単一性の要件

単一の一般的発明概念を形成する一群の発明は、単一の出願に盛り込むことができる(特許法45条)。
単一の一般的発明概念を形成する一群の発明とは、相互関連性があり、先行技術から改善された同一又は対応する技術的特徴を有する発明、とされている(特許法施行令6条)。

補正の機会

・特許査定謄本送達前まで補正可能。
・最初の拒絶理由通知を受けた場合は、意見書提出期間内(2ヶ月、申請によって30日ずつ2回延長することが可能)、また、拒絶査定に対する再審査請求を査定の謄本を送達された日から30日以内に行う時は、その請求と同時に明細書等を補正できる(審判請求をする場合は補正できない;2009年7月1日から施行)。
・PCT国際出願の国内段階移行時の明細書補正時期は、審査請求日経過後から審査請求と同時に可能となる(2006年3月3日から施行)。

補正の制限

内容: 2001.7.1改正で要旨変更の概念を削除し、新規事項追加禁止制に改善。

・補正ができる時期
出願時にクレームを明細書に記載しなかった場合、クレームを追加する補正については、
①優先日から1年2月になる日まで(42条5項1号、2015年1月1日の改正により1年6月から短縮された)。
②上記①の期限内に第三者がした出願審査請求の通知を受け取った場合、通知を受け取った日から3月になる日まで(ただし、遅くとも優先日から1年2月になる日まで)(42条5項2号)。

上記①以外の補正については、原則として特許査定の謄本送達前まで可能だが、下記の場合には補正期間が制限される。
拒絶理由通知を受け取った場合は、意見書提出期間内(47条1号、2号)。
意見書提出期間は拒絶理由通知書の発行日から2カ月。従来は原則として意見書提出期間の延長が無制限に認められていたが、2008年7月1日以降に拒絶理由通知が出された件についての延長は原則として最長4カ月となった(所定の理由がある場合、追加延長が認められる場合あり)。
最初の拒絶決定に対する再審査請求(拒絶決定謄本が送達された日から30日以内)と同時。

・補正ができる範囲
出願当初の原明細書(クレーム含む)の範囲を超えるような補正はできない(47条2項)。なお、外国語による特許出願の場合は、従前は翻訳文の範囲で補正する必要があったが、2015年1月1日施行の法改正により、原文(外国語)の範囲内で補正できることとなった。
最後の拒絶理由通知を受けた後の補正、及び再審査請求と同時にする補正の場合には、新規事項の追加禁止の他、「特許請求の範囲の減縮、誤記の訂正、不明瞭な記載の釈明(審査官が拒絶理由通知の中で指摘したものに限る)、新規事項の追加に該当する補正を補正前の記載に戻り、又は戻りながら補正要件を満たす補正をするもの」のみ可能(2009年7月1日以降に補正する件から補正要件が緩和)。

 

出願公開制度

あり。
原則として出願日から1年6か月後に公開。
・早期公開制度あり(出願人の申請がある場合。意匠登録も同様に適用)。
・最先日基準
①特許出願日
②条約優先権主張を伴う出願はその主張の基礎出願日
③国内優先権主張を伴う出願は先出願日
④②と③によるそれ以上の優先権主張を伴う出願は当該優先権主張の基礎出願日の内の最先日
・出願公開前拒絶出願の再出願許容;審査処理期間の短縮により出願公開前に拒絶決定確定出願の多発、公開前の発明について補完により再出願の機会付与

分割出願の可能時期

原則として第47条規定による補正可能期間、つまり、特許決定謄本送達前まで、または、拒絶理由通知を受けた場合は、その意見書提出期間内。外国語での特許出願の場合は、翻訳文を提出するまでは分割出願不可(2015年1月1日施行の法改正)。
ただし、拒絶決定謄本が送達された日から30日以内であれば分割出願可能。2015年7月施行の法改正により、特許査定又は拒絶査定取消審決(登録を決定した審決に限る)の謄本送達から3カ月以内もしくは設定登録日のうちの早い方の期間にも分割出願が可能となった。この際には、日本の特許査定後の分割出願とは異なり、出願当初の明細書等に記載された範囲内で分割出願することができる。
なお、2015年1月1日以後に出願された外国語による出願(PCT外国語出願、外国語による国内出願)の場合、原文(外国語)の範囲内で分割出願することができる。

加盟している条約

パリ条約、PCT条約、WTO協定、TRIPs協定、ブダペスト条約

優先権主張出願

以下のものが可能。
パリ条約に基づく優先権主張出願(PCTルートの出願含む)
国内優先権主張出願(1990年改正時導入)

変更出願

2重出願制度の廃止及び変更出願制度導入(2006.10.1.施行)。
特許と実用新案間出願種類を変更可能(但し、意匠から特許・実用新案への変更は不可)。

3トラック特許審査処理システム

出願審査請求をした件の処理スピードを早い、遅い、一般の3通りから選べるシステム。
2008年10月一日から開始。

早い審査:
専門機関に先行技術調査を依頼してその調査結果を特許庁に通知するよう要請すれば、誰でも優先的な審査を受けることができる。申請後、約2-3日月内に審査処理をするものと予想される。

遅い審査:
遅い審査を望む出願人のため、審査猶予を申請できる制度を導入。審査請求時、または審査請求の日から6カ月以内に猶予希望時期を記載した審査猶予申請書を提出(別途費用なし)。なお、猶予希望時期は審査請求後18カ月が経過した時から出願後5年以内に限る。

一般審査:
平均16カ月以内(2008年段階)に審査結果を提供。

*なお、遅い審査では、希望時点から約3ヶ月内に審査が処理されると予想されるので、審査を最も遅くしたい場合には、審査請求期間(5年)ぎりぎりに出願審査請求し、一般審査を希望すればよいと考えられる。

 

再審査請求制度

1回目の拒絶決定謄本を送達された日から30日以内であれば、審判請求をしなくても再審査請求と同時に明細書等について補正することができるようになった(2009年7月1日施行)。
なお、再度拒絶決定を受けた場合は不服審判を請求できるものの、再審査請求ができず、補正もできない。

拒絶査定不服審判制度

あり。

特許料及び年金の納付

最初の3年分を納付。
特許決定謄本が送達された日から3ヶ月以内に一括納付。
以降4年目から毎年の年金を該当納付年以前に納付。最初3年分の特許料を含む年金が期日前に納付されなかったとしても、期間経過後6ヶ月以内に納付すれば特許権は消滅しない。ただ、この場合は、経過期間に応じた割り増し料が必要になる(2009年7月1日施行)。

特許権の存続期間

出願日から20年で満了。
特許権の存続期間延長制度あり。特許請求の範囲に薬事法、または、農薬管理法規定による登録を受けた事項を含む、物質、製法、用度、造成物の各特許のいずれか1に該当し、延長登録出願当時、有効な特許は5年以内で存続期間を延長することができる。
ただし、存続期間延長登録出願は、期間満了前6ヶ月以降には不可(日本は満了後には出来ない、つまり、満了6ヶ月以内ならできる場合がある)。
また、特許出願に対して特許出願日から4年と出願審査請求日から3年のうちの遅い日より遅れて特許権の設定登録がなされる場合には、その遅れた期間の分だけ該当特許権の存続期間を延長することができる。
ただし、出願人によって遅れた期間は存続期間の延長から除外される。不合理な登録遅延にともなう特許存続期間の延長を受けるためには、特許権の設定登録日から3ヶ月以内に特許権の存続期間の延長登録出願をしなければならない(2012年3月15日施行)。

異議申立制度

あり。
2007年に廃止されていたが、2017年3月1日施行の改正で制度が復活した。
登録公告後6カ月以内であれば、何人も申立て可能。

無効審判制度

あり。
請求人: 利害関係人(利害関係人の有無判断は審決時を基準。ただし、2007.7.1.以降特許権が設定登録された特許は設定登録がある日から登録公告日の後3月以内には誰でも請求可能)または審査官。
特許権存続期間中はもちろん、特許権の消滅後にも可能(特133条第2項)。

特許権成立後の訂正

訂正審判により可能。
訂正の結果が既存権利関係に変動をもたらす場合法的安定性が損なわれる恐れがあるので相当制限して行われている。
原則的に特許権設定登録当時の明細書または図面を対象にし、特許公報上の記載内容を対象としない。

小特許/実用新案制度の有無

実用新案制度有り。優先権主張の有無にかかわらず、出願日から3年以内に実体審査請求をした出願につき、実体審査が行われる。

その他

・特許法及び実用新案法の一部改正-2007年7月1日施行
特許請求範囲の提出猶予制度の導入(第42条第2項、第59条第2項、第60条第4項及び第5項):
①出願日から1年2ヶ月以内に提出すればよい。特許請求範囲のない出願書を提出しても、出願日が認められる。
②第3者からの審査請求がある場合は、その旨の通知を受けた日から3ヶ月(但し、出願日から1年2ヶ月以内)までに提出する。
①、②の期間内に提出しなかった場合、その出願は取下げられたものとみなす。
発明の詳細な説明の記載要件緩和(第42条第3項):発明の目的、構成、効果に対する記載要件の緩和。
特許請求範囲作成方法の多様化(第42条第4項及び6項、第62条第4号、第133条第1項):特許請求範囲に記載される事項は、出願人の意思によってなされるのであることを明確にするため、拒絶理由及び無効事由から除外する。ただし、「発明の詳細な説明により裏付けられること」及び「発明が明瞭且つ簡潔に記載されること」は拒絶・無効理由。
積極的権利範囲確認審判で確認対象発明の補正範囲の拡大(第140条第2項):審判の対象になる確認対象発明を実施中の物品と同様に補正できる機会を与えるよう改善。
特許手続きに関する処分の不服を特許審判手続きに一元化(第138条の
特許に関する手続き(出願、登録、請求、その他の手続き)に関する無効処分に対する不服手続きを特許審判院に一元化する(現行;行政訴訟と特許訴訟とで二元化しているため、管轄問題などの混乱を招いている)。

・救済措置の拡大
出願人の責に帰することができない理由により、審査請求または再審査請求の期間が徒過した際に、その理由がなくなった日から2ヶ月以内に、当該審査請求または再審査請求を行うことにより、消滅していた特許出願を回復できるようになった。ただし、その請求期間の満了日から1年が経過した場合は、当該特許出願を回復することはできない(2013年7月1日以降の出願に適用)。
なお、特許料未納により消滅した特許権については、所定の要件を満たせば回復申請することができる。2014年6月11日以降の特許権回復申請では、回復要件のうち、「実施中の特許発明」の要件が削除され、納付金額を特許料の3倍から2倍へと引き下げられた。


・審査官の職権再審査制度
特許決定後、設定登録前までに明白な拒絶理由を発見する場合、審査官は職権で特許決定を取り消して審査を再開することができる(2017年3月1日施行の改正)。