商標

中国特許制度の概要

発明の保護対象

発明とは、製品、方法、又はその改良について出された新しい技術法案をいう(特許法2条)。
(1)科学的発見、(2)知的活動の規則および方法、(3)病気の診断及び治療法、(4)動物及び植物の品種、(5)原子核変換の方法により得られる物質は、保護対象から除外されている。

先願主義

同一発明については最先の出願人のみが特許権を取得できる。ただし、同一発明について同日に2以上の出願があった場合は協議で定めた出願人のみが特許権を取得できる。

出願言語

中国語のみ

出願に関する料金

出願料金: 明細書30ページ、クレーム10項まで950元(1元=約13円~18円程度)
追加明細書料: 31ページ~300ページまでは、(30ページを超えたページ数)×50元
        301ページ以上の場合、300ページを超えたページ数×100元
追加クレーム料: 150元/項
審査請求料: 2500元 優先権主張料 80元(パリ優先権主張出願の場合)

上記計算の明細書のページ数は、図面のページ数も含む(審査指南第5部分第2章1)。

*料金や換算レートは最新ではない可能性があることにご留意ください。

出願審査請求制度(特許法第35条)

あり。出願日(優先権主張出願の場合は優先日)から3年以内に可能。(PCTの場合も優先日から起算。)

早期審査制度

優先審査制度あり(専利法第35条)(①国家の利益或いは公共の利益にとって重大な意義をもつ出願、②専利局が自ら実体審査を開始した専利出願、③原出願日を保留してある分割出願は,原出願と共に審査を行ってもよい)。しかし、実務上ほとんど行われない。

所定の条件を満たせば、特許審査ハイウェイ(PPH)による早期審査を受けられる。PPHによれば、中国特許出願に対応する日本特許出願の審査結果(特許査定等)、又はPCT出願の国際段階における成果物(国際調査機関が作成した見解書等)を用いて早期審査を申請することができる。
中国では、出願公開されなければ審査が開始されないので、審査を促進させるためには早期公開請求(専利法第34条)を行うことが好ましい。

 

新規性の判断

出版物(世界主義)、国内外で公に使用(販売、展示、展覧、輸入など)及びその他の形で公開(口頭での情報伝達)されたものに基づいて判断。
以前は公知については国内主義を採用していたが、2009年10月1日施行の第三次改正により世界主義を採用した(22条)。

新規性喪失の例外規定(特許法第24条)

あり。中国への出願日前6カ月以内に以下の状況のいずれか1つがあった場合に適用。
・中国政府が主催、または承認した国際展示会で初めて展示された場合
・定められた学術会議あるいは技術会議で初めて発表された場合
・他人が出願者の同意を得ずに、その内容を暴露した場合

*試験、刊行物発表、インターネット上での発表は新規性喪失の例外の対象とはならない。

クレーム/明細書の記載要件

・クレームの記載要件
サポート要件、明確性要件(請求項は、明細書に基づいて、特許保護を要求する範囲を明確、簡潔に限定しなければならない、専利法第26条4項)。
クレームの形式としては、マルチクレーム(1つのクレームが複数のクレームを引用すること)は認められるが、マルチのマルチクレーム(複数のクレームを引用するクレームをさらに複数のクレームで引用すること)は認められない(特許細則規則23(2))。

・明細書の記載要件
実施可能要件(明細書には、発明または実用新型について、その技術分野に属する技術者が実施することができる程度に明瞭かつ完全な説明を記載しなければならない)。

発明の単一性の要件

二つ以上の発明が単一性を有する場合、一件の出願にまとめることができる(特許法第31条)二つの独立請求項が単一性を有するか否かは、同一の又は対応する特別な技術的特徴の有無により判断される(審査指南第2部分第6章2.2.1)。単一性違反は、拒絶理由であるが、無効理由ではない。

補正の機会

・実体審査の請求と同時
・実体審査開始の通知の受領から3カ月以内
・拒絶理由通知書(OA)に対する応答時
 1回目の拒絶理由の場合、OA応答期間は、拒絶理由通知の受領日から通常は4カ月(1カ月ごと延長可能、最大2カ月まで延長可能)
 ただし、受領日は、特許庁からの発送日に15日加算した日
 2回目以降の拒絶理由の場合、OA応答期間は、拒絶理由通知の受領日から2カ月(2カ月まで延長可能)
・PCT出願の場合のみ、国内段階への移行時
・不服審判請求時や専利複審委員会の審理通知書への応答時。ただし補正は指摘された不備を克服するものに限られる(実施細則第六十条)

補正の制限

出願当初の原明細書、クレーム、図面の範囲内。

ただし、拒絶理由通知書を受けた場合(項目6(3)の場合)は、上記の制限に加え、拒絶理由についての補正以外原則不可(明らかな誤記等は審査官の裁量で認められる場合がある)。拒絶理由に関係のない補正を従属クレームで行うことは認められない。また、独立クレームを追加する補正も不可。自発補正(項目6の(1)、(2))の場合には、独立項の追加は可能。なお、第三次法改正後、従属クレームを追加する補正が認められなくなった(詳細は下記の表(審査指南より)を参照)。

審査段階請求項不適法な補正 自発的に独立請求項の技術的特徴を削除し、特許請求の範囲を広げる
自発的に独立請求項の技術的特徴を変更し、特許請求の範囲を広げる
自発的に明細書のみに記載され、かつ原の発明主題とは単一性の要件を満たさない技術的特徴内容を新たな主題とする
自発的に原の特許請求の範囲中に記載されない新たな独立請求項を追加する
自発的に原の特許請求の範囲に存在しない新たな従属請求項を追加する
適法な補正 新たな技術的特徴を追加し、さらに独立請求項を限定する
独立請求項の技術的特徴を変更する
独立請求項の類型、主題、及びそれに対応する技術的特徴を変更する
一項又は多項の請求項を削除する
独立請求項の請求しようとする部分を、従来技術に対して境界を分ける
従属請求項の引用部分の引用関係を是正する
従属請求項の限定部分を是正し、従属請求項の請求しようとする範囲を明らかに限定する
不適法な追加 原の明細書又は/及び特許請求の範囲から直接に認定できない技術的特徴
原の明細書又は/及び特許請求の範囲から直接に、且つ疑問の余地なく確定できない内容
図面の測量で得られた寸法パラメータの技術的特徴
原の出願書類に記載されない付加組成を導入し、新たな特別効果が生じるようにする
当業者が直接に原の出願書類から推認できない効果を追加する
実験のデータ又は/及び実施形態の実施例を追加する
図面(但し、従来技術などの図面を追加することができる)
不適法な変更 請求項の技術的特徴を変更し、原の明細書及び特許請求の範囲を超えるようにする
明確ではない内容を明確にするため、新たな内容を導入する
分離した特徴を新たな組み合わせに変更する(原の出願書類にそれらの特徴同士の関係を明確に記載されていない)
明細書の技術的特徴を変更し、原の明細書及び特許請求の範囲を超えるようにする
不適用な削除 原の出願書類において必要な技術的特徴と認定される特徴を独立請求項から削除する
明細書に記載される技術手段に関する専門用語を請求項から削除する
明細書において明確に認定された適用範囲に関する技術的特徴を請求項から削除する
明細書からある内容を削除し、原の明細書及び特許請求の範囲を超えるようにする
数値に関する補正により、原の明細書及び特許請求の範囲を超えるようにする
拒絶査定不服審判に
係属するときの不適法な補正
補正された特許請求の範囲が、拒絶査定時の特許請求の範囲に対して保護範囲が広げられる
シフト補正
請求項の類型の変更又は請求項数の追加
拒絶査定に指摘されなかった請求項又は明細書の補正(明らかな誤記、拒絶査定に指摘された不備と同一性質の不備を除く)

拒絶査定の時期(2006年7月1日施行の審査指南による改訂)

拒絶査定は、原則的には2回目の拒絶理由通知書が出された後でなければならない。ただし、1回目の拒絶理由に対して説得力のある理由および証拠の提出ができなかった場合、審査官は2回目の拒絶理由通知書を出さずに拒絶することはできる。

出願公開制度

あり。原則として出願日から18カ月(優先権主張出願の場合は基礎出願日から18ヶ月)後に公開。早期公開制度あり。

分割出願の可能時期

審査係属中の場合、特許査定まではいつでも可能。特許査定受領後は、その受領日から2カ月以内であれば可能。拒絶査定となった出願については、拒絶査定通知を受領してから3カ月以内であれば可能。

孫出願(分割出願の分割出願)については、審査係属中の場合、原則として特許査定まではいつでも可能であり、特許査定の受領日から2カ月以内又は、拒絶査定通知から3カ月以内にも可能。ただし、親出願について分割出願できる期間が経過した後は、子出願が審査係属中であっても分割不可。しかし、孫出願が単一性違反を指摘された場合はこの期間に限らず分割可能(下記の表参照)。また、従来通り審判請求期間内に審判請求を行った場合、審決取り消し訴訟の提起を期間内に行った場合にも可能。

 親出願の分割可能期間内親出願の分割可能期間経過後
特許査定前/拒絶査定前 ×
拒絶査定受領から3カ月内 ×
特許査定受領から2カ月内 ×
単一性違反を指摘された場合
拒絶査定不服審判/当該審判の審決取消訴訟係属中 ×

分割出願の内容の制限

出願当初の明細書、クレーム、図面の範囲内であれば特に制限されない(独立クレームの追加等も可能)。

優先権主張出願

以下のものが可能。
・パリ条約に基づく優先権主張出願(PCTルートの出願含む)
・国内優先権主張出願(実施細則第三十三条で規定)

変更出願

原則として不可。ただし、優先権を主張する場合に、後の出願を基礎出願のものと違う種類の出願に変更(意匠→特許、実用新案→特許など)することは可能。

拒絶査定不服審判制度

あり。拒絶査定謄本の受領日から3カ月以内に請求可能。

特許料の納付時期

特許査定後2カ月以内。延長不可。

特許権の存続期間

出願日から20年で満了。延長制度なし。

異議申立制度

なし。2001年の法改正で廃止。

無効審判制度

あり。なお、無効審判を請求された特許権者は、その通知書に対する答弁時に、クレームのみ訂正可能。その際には、権利保護範囲を拡大してはならない。クレームの削除、結合(2つ以上のクレームを合わせて新クレームを作ること)は可能。

特許権成立後の訂正

日本国の訂正審判に相当する制度はない。ただし、特許権成立後に無効審判がなされた場合、クレームのみ訂正可能。

小特許/実用新案制度の有無

実用新案制度あり。

 

 

米国特許制度の概要

先発明者先願主義

以前は先発明主義を採用していたが、2011年の改正特許法(AIA;America Invents Act)により、2013年3月16日以降の出願日又は優先日を有する特許出願には、いわゆる先発明者先願主義が適用される。

すなわち、原則として同一発明については最先の出願人のみが特許権を取得できる。ただし、発明者又は共同発明者が発明を公表した場合、第三者が同一発明について当該公表後に特許出願しても特許を取得できず、公表日から1年以内に上述の発明者又は共同発明者が特許出願すれば、当該出願は発明の公表及び第三者による先願により拒絶されない。

出願の種類

  1. 仮出願
     仮出願とは、通常の特許出願の要件を満たさない簡易な形式による出願をいう(111条(b))。明細書と図面のみで、クレームがない場合でも、仮出願できる。仮出願は日本語でもできる。
     翻訳文は提出不要であり、仮出願の出願日から12ヵ月以内に、仮出願に基づく利益を主張して正規の出願をすることで、仮出願の日を最先の出願日とすることができる。なお、米国ではこの仮出願の制度があるため、国内優先権主張出願はない。
  2. 審査請求料
  3. 分割出願(Divisional Application)
     可能時期:親出願に対する特許付与、または、親出願の放棄もしくは手続終了の前、すなわち、親出願が特許庁に係属しているとき。
     内容の制限:親出願に開示された範囲内のみ可能
  4. 継続出願(CA:Continuation Application)
     可能時期および内容の制限は、分割出願と同じ
  5. 一部継続出願(CIP:Continuation-in-Part Application)
     可能時期は、分割出願および継続出願と同じ
     内容の制限:親出願に開示された範囲を超えて行うことができる。ただし、追加された部分については、有効出願日は当該一部継続出願の出願日となる。
  6. 変更出願
     出願日から1年以内に正規の出願から仮出願への変更が可能。継続出願することにより、特許出願から意匠特許出願への変更が可能。

発明の保護対象

プロセス(方法)、機械、生産物、組成物の4つが法定の保護対象となっている(特許法101条)。抽象的な概念(abstruct idea)、自然法則、自然現象などは保護対象とならない。天然物そのもの(ゲノムDNAや単体の元素、自然に存在する微生物等)も保護対象ではない。コンピュータプログラムは保護対象ではない。医療方法は保護対象であるが、医療方法についての特許権は、原則として医師等の医療行為には及ばない(特許法287条)。
なお、有用性があること及び二重特許ではないことも特許を受けるための要件となっている。

出願言語

原則として英語(英語以外の言語でも出願可能であるが、その場合は補充指令通知から2カ月以内に英語翻訳文の追補が必要)。

IDS(情報開示陳述書)

特許出願またはその手続に関与する者(発明者・譲受人・代理人等)は、特許性に関する重要な全ての情報を開示する義務を負う。「重要な情報」とは拒絶理由を形成できるものや、出願人が米国特許庁で行った主張と矛盾するもの等を指す。開示義務を負う期間は、出願から登録まで。

出願に関する料金(*最新の料金についてはUSPTOのウェブサイト等でご確認ください)

・出願費用: 280ドル(独立項3つ、クレーム数20まで定額)
       クレーム数が20を越えた場合、越えたクレーム数×80ドルの加算
       独立項が4つ以上の場合、(独立項数-3)×420ドルの加算
       マルチ従属クレームがある場合、780ドルの加算
       100ページを越えた場合、50ページ毎に400ドルの加算。
・調査料: 600ドル(出願時に必要)
・審査料: 720ドル(出願時に必要)

*出願人の企業規模によって料金が通常の50%又は25%に減額される制度がある。

出願審査請求制度

なし

新規性の判断

以下の1、2に該当する場合、原則として発明は新規性を有さない。

 

  1. 他の発明者による同一発明が有効出願日前に先に出願されており、且つ当該先の出願の同一発明についての特許が発行されるか、出願公開された場合(特許法102条(a)(2)。
  2. 発明が、出願日又は優先日(すなわち有効出願日)前に、特許され、印刷刊行物に記載され、公に使用され、販売され、又はその他公衆に入手可能である場合(特許法102条(a)(1))。

新規性喪失の例外規定

発明の有効出願日前1年以内にされた開示は、新規性違反の先行技術とはならない(特許法102条(b)(1))。開示行為の内容は、発明者又は共同発明者によるものであれば、特に限定されない。

クレーム/明細書の記載要件

  1. 明細書の記載要件
    「明細書は,その発明の属する技術分野又はその発明と極めて近い関係にある技術分野において知識を有する者がその発明を製造し,使用することができるような完全,明瞭,簡潔かつ正確な用語によって,発明並びにその発明を製造,使用する手法及び方法の説明を含まなければならず,また,発明者又は共同発明者が考える発明実施のベストモードを記載していなければならない。」(112条(a))
    • 発明の記述要件(サポート要件)
    • 実施可能要件
    • ベストモード要件(ただし、AIAにより無効理由から除外された)
  2. クレームの記載要件
    「明細書は,発明者又は共同発明者が発明とみなす主題を特定し,明白にクレームする1又は2以上のクレームで終わらなければならない。」(112条(b))
    • 明確性要件
      なお、複数クレームを引用する複数のクレームを引用すること(いわゆるマルチのマルチ)は不可。また、複数クレームを引用するクレームが含まれる場合には、追加料金が必要。 

限定要求/選択要求

2つ以上の独立した別個の発明が一つの出願中にクレームされている場合、審査官は出願人に対し、クレームをグループに分けた上でクレームの限定を要求することができる。出願人の応答により、選択されなかったクレームのグループは、審査対象から外される。
応答を書面で行う場合、応答期間は2ヵ月(延長可能)。
また、一つの出願中に一つの包括クレームと、この包括クレームに包含される複数の種(実施例)とがある場合、審査官は包括クレームが許可されないときに備えて種を選択するように要求することができる。応答を書面で行う場合、応答期間は2ヵ月(延長可能)。

補正の機会

最初の拒絶理由通知(First Office Action)を受けるまでは原則としていつでも明細書等の補正ができる。最初の拒絶理由通知を受けた場合、当該拒絶理由通知を受けた日から3ヵ月以内(最大6ヵ月まで延長可能)に補正可能。最終拒絶理由通知(Final Office Action)を受けた場合、最終拒絶理由通知を受けた日から3ヵ月以内(最大6ヵ月まで延長可能)に補正可能。

補正の制限

最初の拒絶理由通知を受ける前、及び最初の拒絶理由通知に対して応答する場合には、明細書等により開示された範囲内で補正できる。

最終拒絶理由通知に対して応答する場合には、明細書等により開示された範囲内であって、

  • クレームの削除、
  • 指摘された方式不備の解消、
  • 審判請求のためによりよい形式にする補正

のいずれかしか認められない。

出願公開制度

あり。特許出願は、最先の出願日から18ヵ月経過後に公開される(特許法122条)。ただし、国家の安全のために秘密保持命令の対象となっている出願、仮出願、非公開請求をした出願等は出願公開されない。

加盟している条約

パリ条約、PCT、WTO協定、ブダペスト条約、特許法条約

優先権主張出願

パリ条約及びPCTに基づく優先権主張出願が可能。

早期審査等

  1. 特許審査ハイウェイ(PPH)
    現在はGlobal PPH及びIP5 PPHという名称で試行的プログラムとして実施されている。日本の特許出願における特許査定や、PCT国際出願段階の成果物を用いてPPHの利用申請が可能。尚、PPHの申請に庁費用は発生しない。
  2. 早期審査
    費用が安価であることや、平均12カ月以内に審査が終了すること、オフィスアクションの回数が減るといった利点がある。オフィスアクションに対する応答期間が通常より短く延長不可であることに留意が必要。出願人は、各クレームの特許性について先行技術調査を行い、先行技術文献をIDSとして提出し、AESD(Accelerated Examination Support Document)において、特許性があることを説明する必要がある。
    PCT国際出願からの米国国内移行出願(バイパス継続出願を除く)は早期審査対象外。
  3. 優先審査
    平均12カ月以内に許可通知もしくは拒絶査定が発行される。早期審査の際に提出が求められるような書類が不要であり、オフィスアクションに対する応答期間も通常通りであるが、費用が高額(4800ドル)で、クレーム数への制限(独立クレーム4つ、トータルクレーム数30個まで)などがある。

特許料の納付時期

許可通知が出てから3カ月以内が最初の登録料の納付期限(登録日から4年間権利が維持される)。その後、特許権を維持するためには3回の特許料の納付が必要。

  • 1回目の納付時期:特許日から3~3.5年後の間
  • 2回目の納付時期:特許日から7~7.5年後の間
  • 3回目の納付時期:特許日から11~11.5年後の間

※また、各期間経過後であっても6カ月以内に割増料金(通常160ドル)を付加して支払えば権利を維持することができます。

特許権の存続期間

特許権の存続期間は、原則として、米国出願日(PCT国際出願経由の場合は、国際出願日)から起算して20年。

※1995年6月8日以前に出願されて同日現在出願係属中のもの、及び権利係属中のものについては「出願日から20年」または「特許付与日から17年」のうちいずれか遅く終了する期間までが存続期間。但し、同日より前に出願されたものでも、これに基いて同日以降に継続性出願(継続出願、一部継続出願、分割出願等)を行った場合には、存続期間は一律に最先の親出願から20年。尚、同日より前に存続期間が満了しているものは、登録から17年。

  • 仮出願に基く本出願の存続期間の起算日は本出願の出願日ですが、仮出願を本出願に出願変更した場合の起算日は仮出願の出願日。
  • 再発行特許権の存続期間は原特許権の存続期間。
  • ターミナルディスクレーマー特許の存続期間は、対象の先願特許の満了日まで。
  • 上記の存続期間は当該特許が医薬品に関するものであったり、審査の遅延を原因として延長される場合がある。この場合には特許公報に延長日数が掲載される。
  • 2000年5月29日以降に出願された米国特許出願で、当該出願が登録されるまでの間の審査期間中に米国特許商標庁(USPTO)の処理に時間がかかった場合には、一定の条件下で特許権の存続期間が延長される。

継続審査請求(RCE:Request for Continued Examination)

RCEとは、同一出願内で、審査の継続を求める請求のことをいう。

可能時期:出願の審査が終了した後で、かつ、特許料の支払い前、特許出願の放棄前、審決に対する出訴前であるとき。

例えば、ファイナルアクションを受領した後に、補正によってクレームに明細書等の開示範囲内で新たな事項を追加したい場合や、アドバイザリ通知を受け、審査のやり直しを求めたい場合などに、継続審査請求を行う。

拒絶査定不服審判制度

特許出願のクレームが2度以上拒絶された場合、出願人は、特許公判審判部(PTAB)に審判請求することができる。最終拒絶通知から原則として3カ月以内に請求可能(最大6カ月まで延長可能)。審判請求から2カ月以内に審判理由補充書を提出する必要がある。審判理由補充書の提出までは最終拒絶通知後と同様のクレーム補正ができるが、審判理由補充書の提出後は、クレームの削除、又は従属クレームの独立形式への書き換えを除いて補正は認められず、新たな証拠の提出も認められない。

Pre-Appeal Brief Conference procedureを請求する場合、審判請求と同時に5ページ以内の”a Request for Pre-Appeal Brief Conference” を提出する。その後、USPTOから出願のステータスに関する決定が通知される。この際、(a)審判手続をする少なくとも一つの実効的な争点が存在するので、本審判手続を続行する、(b)本件のプロセキューションを再開する(追って、Official Communication が送達される)、(c)出願が許可可能状態にあるので、プロセキューションを終了する、(d)要件を満足していないので、本審判請求を却下する、のいずれかが通知される。

異議申立制度(PGR(Post Grant Review:付与後レビュー))

PGRは、特許発行日から9カ月以内に請求することができる。

  • 特許権者以外の者が請求可能。匿名での請求は不可。
  • ベストモード要件を除く、全ての理由で請求可能。
  • 2013年3月16日以降の有効出願日を有する特許が対象。

当事者系レビュー(IPR(Inter Partes Review))

特許発行日から9カ月経過後以降に請求できる(PGRが開始された場合は、そのPGRが終了した日以降に請求可能)。

特許権者以外の者が請求可能。匿名での請求は不可。

請求の理由は、特許または刊行物に基づく新規性・非自明性のみ。全ての特許が対象である。

特許許可後の訂正

許が付与された後に明細書等の訂正をする方法は、3つある。

  1. 訂正
    特許権者のみが行うことができる。特許権の効力に影響を与えない誤記や、方式的な誤りがある場合に、明細書等を訂正することができる。
  2. 特許の再発行(reissue)
    元の特許の発行から2年以内に特許権者が利用できる。特許成立後にクレームを拡張する唯一の手段。
  3. 査定系再審査
    印刷刊行物に基づく特許性を特許庁に再度審査してもらう制度であり、特許権者又は第三者が請求可能。再審査手続きの中でクレームの訂正が可能。

小特許/実用新案制度の有無

実用新案制度はない。

EPC特許制度の概要

保護対象

保護対象としての発明についての定義はないが、発明でないものとして下記が列挙されている(52条(2))。

・発見、科学理論、数学的方法
・美的創作物
・精神活動、遊戯、ビジネスを実施するための計画、規則、及び方法、並びにコンピュータプログラム
・情報の提示

先願主義

2人以上の者が互いに独立して同一の発明をした場合、欧州特許を受ける権利は、最先の出願日を有するEPC出願をした者に属する。但し、最先の出願が公開されている場合に限る(60条(2))。

出願言語

英語、ドイツ語、又はフランス語(14条)
ただし、出願書類はいずれの言語でも受理される。出願言語以外の言語で出願した場合、出願日から2ヶ月以内にいずれかの出願言語の翻訳文を提出しなければならない。

料金(*最新の料金についてはEPCのウェブサイト等でご確認ください)

1.出願料
 電子出願 120ユーロ(紙出願 210ユーロ)
 超過頁加算(36頁~) 15ユーロ/ページ
 クレーム加算(16~50個) 235ユーロ/クレーム
 クレーム加算(51個~) 580ユーロ/クレーム

2.調査料
 1285ユーロ

3.指定料
 580ユーロ

4.審査請求料
 1620ユーロ

5.特許付与(35頁まで)
 915ユーロ
 超過頁加算(36頁~)15ユーロ/ページ

6.年金
 3年度 465ユーロ
 4年度 580ユーロ
 5年度 810ユーロ
 6年度 1040ユーロ
 7年度 1155ユーロ
 8年度 1265ユーロ
 9年度 1380ユーロ
 10年度以降 1560ユーロ/年

分割出願

EPC出願がEPOに係属している限り、分割出願をすることができる(76条 規則36(1))。

優先権主張出願

EPC出願、及び外国出願を基礎として優先権主張出願をすることができる(88条)。

出願から審査までの手続の概要

・パリルートでのEPC出願
・PCTルートでのEPC出願(国際調査機関がJPO)
・PCTルートでのEPC出願(国際調査機関がEPO)

のいずれかにより、出願から審査までの間の手続の流れが異なります。

 

EPC

 

補正

パリルートでのEPC出願の場合、欧州調査報告を受け取った後、及び審査官から最初の通知(First Examination report)を受け取った後、指定された期間内に補正書を提出することができる。

PCTルートでのEPC出願の場合、EPO段階への移行時、補充欧州調査の作成前で、規則161(2)に基づく通知によって指定された期間内(6ヶ月)、補充欧州調査、及び審査官から最初の通知(First Examination report)を受け取った後、指定された期間内に補正書を提出することができる。

出願公開制度

EPOは、EPC出願を次の時期に速やかに公開する(93条(1))。

・出願日から又は優先権が主張されている場合は優先日から18月経過後、又は
・出願人から請求があった場合は,上記期間の満了前
公開された出願には、仮保護の権利が与えられる(ただし、仮保護の権利に関しては、各指定国で要件を定めることができる)。

出願審査請求制度

審査請求のあった出願のみが審査の対象となる(94条(1))。
審査請求ができる期間は、欧州特許公報が欧州サーチレポートの公開に言及した日から6ヶ月以内である(規則70)。

特許要件:産業上の利用性

発明は、それが農業を含む産業の何れかの分野において生産し又は使用することができる場合は、産業上の利用可能性を有するものと認められる(57条)。

特許要件:新規性

発明が技術水準の一部を構成しない場合は、新規性があるとされる絶対新規性を採用する(54条)。
自己衝突あり(54条(3))。

※新規性喪失の例外規定
発明の開示が出願前の6月以内に行われると共に、それが次の(a)又は(b)に起因するか又はその結果であり、且つ出願人が必要な手続を行った場合には、その発明の新規性の喪失が考慮されない(55条)。

・出願人又はその法律上の譲渡人に対する明らかな濫用
・出願人又はその法律上の譲渡人による特定の国際博覧会での発明の展示

特許要件:進歩性

発明が技術水準を考慮した上で当該技術の熟練者にとって自明でない場合は、進歩性を有するものと認める。
出願後に公開された書類は、進歩性の有無を判断する際に考慮されない(56条)。

審判制度

受理課、審査部、異議部、及び法律部の決定に対しては、対象となる決定の通知の日から2月以内にEPOに書面で審判を請求することができる(106条、108条)。

特許権の存続期間

欧州特許権の存続期間は、出願日から20年である(63条(1))。

異議申立制度

欧州特許公報における欧州特許付与の告示の公告から9月以内に、何人も、EPOにその特許に対する異議を申し立てることができる(99条)。

欧州特許権の効力及び特許無効審判制度

欧州特許権の効力は、EPCに特別な定めがない限り、国内特許権と同一の効力を有する(63条(2))。
欧州特許を無効とする手続は、各締約国の法律に基づいて行われる(138条(1))。

早期に権利を受けるための制度

・日-欧州特許審査ハイウェイ(PPH)が2010年1月29日より施行されている。
・PACE申請を行うことで、調査及び審査を早めることができる。

ドイツ特許制度の概要

発明の保護対象

以下のものは発明とみなされない。

・発見、科学の理論及び数学的方法
・審美的な創作物
・精神的な行為をし、遊戯をし、又は事業活動をするための計画、規則及び方法

特許は次のものに対しては付与されない。

・ヒトをクローン化する方法
・ヒトの生殖細胞系列の遺伝的同一性を変更する方法
・ヒトの胚の、工業又は商業目的での使用
・動物の遺伝的同一性を変更する方法であって、ヒト又は当該動物に対する実質的な医療上の利益なしに、当該動物を苦しめるおそれがあるもの。更に、当該方法から生じる動物に対しても特許は付与されない。(特許法第2条)
・手術又は治療による人体又は動物の体の処置方法、及び人体又は動物の体の診断方法(これらの方法に使用する物質又は組成物には特許付与される)(特許法第2a条)

 

 

先願主義

同一発明については最先の出願人のみが特許権を取得できる。

出願言語

ドイツ語。他の言語で出願しても出願日は認定されるが、出願日から3ヶ月以内にドイツ語翻訳文を提出しなければ、出願が取り下げられたものとみなされる。
ただし、出願言語が英語又はフランス語の場合は、出願日から12ヶ月以内(優先権の主張を伴う出願の場合は、優先日から15ヶ月以内)にドイツ語翻訳文を提出すればよい。(特許法第35条(1)、第35a条(1)(2))」
なお、PCT出願の国内移行の際に提出する明細書の言語としては、ドイツ語のみが認められる。

出願に関する料金

出願料金: 50EUR
新規性調査料金*: 250EUR
新規性調査請求後の審査請求料金: 150EUR
審査請求料金: 350EUR

*新規性調査制度:出願日から7年以内に新規性調査請求を行うことで、その特許出願の発明に関する先行技術文献を調査することができる。
*料金は最新ではない可能性があることにご留意ください。

出願審査請求制度

出願日から7年以内

新規性喪失の例外規定

・出願人の意に反して発明が公表された場合。
・発明が国際的な博覧会に出品されたことにより公表された場合  但し、いずれの場合でも、公表された日から6ヶ月以内に出願がされ、国際的な博覧会に出品した場合は、出願と同時に出品に関する陳述書を提出し、且つ出願日から4ヶ月以内に、博覧会に出品したことを証明する証明書を提出する必要がある。

補正の制限、機会

特許を付与すべき旨の決定が行われるときまでは、出願の内容は、出願の対象の範囲を拡大しないことを条件として、補正することができる。ただし、審査請求が提出されるまでは、明白な誤りの訂正、審査課によって指摘された不備の除去又はクレームの補正のみが容認される。出願の対象の範囲を拡大する補正は認められない。

拒絶理由通知に対する応答期間

通常4ヶ月。請求により応答期間を延長することができる。

出願公開制度

出願日(優先権主張の場合は優先日)から18ヶ月経過後に出願公開される。

分割出願の可能時期

出願人は、いつでも出願を分割することができる。

優先権主張出願について

パリ条約に基づく優先権主張可能。

変更出願

特許出願を基に同一発明について実用新案登録出願をすることが可能である。
この場合、同一発明について特許権と実用新案件の両者が登録されることは許容されている。

新規性の判断

絶対主義が採用されている。出願に係る発明が、世界中のいずれかの国で公知、公用、又は刊行物に記載されている場合には、新規性はなく特許を受けることができない。

不服の申立

拒絶査定に対して、拒絶査定の理由に不服がある場合には、決定の日から1ヶ月以内に連邦特許裁判所に対して不服を申し立てることができる。

特許料の納付時期

維持年金制度であるため、特許が付与されても特許料を納付する必要はない。

特許権の存続期間

発明に係る出願の日の翌日から起算して20 年。

異議申立制度

特許付与の公告の日から9ヶ月間の間に異議の申し立てが認められている

無効審判制度

連邦特許裁判所に無効訴訟手続を行うことができる。

特許権成立後の訂正請求

特許権者は、訂正審判を請求することが認められている。特許異議申立・特許無効訴訟において訂正を行うことも可能である。

その他

PCT出願の国内移行手続きの期限は、優先日から31カ月。
日本との間でPPH(MOTTAINAI)とPCT-PPHが行われている。

 

 

インドネシア特許制度の概要

発明の保護対象

発明の定義
技術分野の特別な課題を解決する発明者のアイデア
製品又はプロセスか、それらの改良が含まれる

不特許事由
コンピュータプログラム(コンピュータプログラムのみにより構成される方法も含む)、ビジネス方法など。コンピュータ関連発明であっても、技術的効果を有し、かつ、有形/無形の問題を解決する場合は特許の保護対象になる場合もあり。
生物や生物学的プロセスなど

※2016年法改正により、既知の物、または既存の化合物の新たな形態であって顕著な改良が無く既存の化学構造からなるものの新たな用途(第二用途/第二医薬用途)の発明は、特許の保護対象から除外されることとなった。

先願主義

同一発明については最先の出願人のみが特許権を取得できる。

 

出願言語

インドネシア語

出願に関する料金

出願料金
基本料金: 575,000IDR(単位:インドネシアルピア)
      10個以上の各クレーム 400,00IDR
書類追完料金: 200,000IDR
実体審査請求: 2,000,000IDR

*料金は最新のものではない可能性があることにご留意ください。

 

出願審査請求制度

出願日から36月以内に請求可能。
2016年法改正により、実体審査請求または出願公開期間のいずれか遅い方から30ヶ月以内に特許可否の決定がなされるべき旨、規定されている。

早期審査制度

2019年5月31日まで特許ハイウェイ(PPH)の試行プログラムを申請可能。
ASEAN特許審査協力プログラム(ASPEC)も利用可能。
外国で出願された対応出願(US、EP、JP、KR、CN、GB、DE、FR、AU、SE、AT、NL、CAなど)を利用した「修正実体審査」により審査の早期化を図ることができる。

新規性喪失の例外規定

出願前6月以内の次の場合は、その発明は既に公表されたものとはみなさない。
・その発明が、インドネシア国内外の国際博覧会、又はインドネシア国内の全国博覧会で提示された場合。
・その発明が、研究開発目的の実験でその発明者によりインドネシア国内ですでに実施された場合。

出願前12月以内に守秘義務違反で他のものがその発明を公表した場合も、その発明は既に公表されたものとはみなさない。

クレーム/明細書の記載要件

・クレームの記載要件
クレームは明瞭且つ簡潔なものでなければならず、明細書によって裏付けされていなければならない。クレームは先行技術を区分した2パートフォームによって記載しなければならない(規則25(1))。
マルチクレーム、マルチのマルチクレームは認められている。 

・明細書の記載要件
明細書は、その発明の属する分野の当業者がその発明を実施することが可能なように、明確かつ十分に開示、説明しなければならない(特許法第25条(2))。

 

発明の単一性

特許出願は、1つの発明または単一正を有する複数の発明についてすることができる(特許法第21条)。
相互に関連しているクレームも発明の単一性があるとみなされる(規則27)。

補正の制限、機会

拒絶理由が通知された場合、指定期間内に補正可能。ただし、原出願で申請された発明の範囲を拡大するものではないことが条件。

拒絶理由通知に対する応答期間

通常3ヶ月。請求により2ヶ月延長可能。延長費用を払うことで更に1ヶ月の延長可能。

出願公開制度

出願日(優先権主張の場合は優先日)から18ヶ月経過後に出願公開される。

分割出願の可能時期

自発的にまた拒絶理由通知の応答期限内に分割出願可能。自発的な分割出願は、実体審査の終了まで可能。

加盟している条約

パリ条約、PCT、TRIPs協定

優先権主張出願について

パリ条約に基づく優先権主張可能。

変更出願

特許から小特許に、またはその逆に変更出願可能(特許法第37条)。
「小特許」は日本の実用新案制度と類似した物品の形状等を保護対象とし、新規性の有無の審査により登録要件が判断される。

新規性の判断

発明が、出願日又は優先日前に、出願に係る発明が世界のいずれかの場所において公知、公用又は刊行物に掲載されていないこと(絶対的世界主義)。

出願後に、出願公開された先の出願の明細書等に記載された発明と同一発明についての後の出願は、出願人が同一か否かに拘わらず、特許を受けることができない(日本国特許法第29条の2とは相違)。

不服の申立

拒絶査定に対して、出願人は査定通知の発行日から3ヶ月以内に、特別特許審判委員会に対して審判請求可能。

特許権の存続期間

出願日から20年間。

異議申立制度

2016年改正により特許付与後の異議申し立てが可能となった。
何人も出願公開の日から6ヶ月間、情報提供可能。

無効審判制度

特許の取消訴訟が可能。

小特許/実用新案制度の有無

小特許制度あり。新規性と産業上の利用可能性のみ実体審査され、進歩性は審査されない。

その他

PCT出願の国内移行手続きの期限は、優先日から31カ月。ただし、手数料を納付することにより32カ月まで延長可能。