インドネシア特許制度の概要
- 発明の保護対象
- 先願主義
- 出願言語
- 出願に関する料金
- 出願審査請求制度
- 早期審査制度
- 新規性喪失の例外規定
- クレーム/明細書の記載要件
- 発明の単一性
- 補正の制限、機会
- 拒絶理由通知に対する応答期間
- 出願公開制度
- 分割出願の可能時期
- 加盟している条約
- 優先権主張出願について
- 変更出願
- 新規性の判断
- 不服の申立
- 特許権の存続期間
- 異議申立制度
- 無効審判制度
- 小特許/実用新案制度の有無
- その他
発明の保護対象
発明の定義
技術分野の特別な課題を解決する発明者のアイデア
製品又はプロセスか、それらの改良が含まれる
不特許事由
コンピュータプログラム(コンピュータプログラムのみにより構成される方法も含む)、ビジネス方法など。コンピュータ関連発明であっても、技術的効果を有し、かつ、有形/無形の問題を解決する場合は特許の保護対象になる場合もあり。
生物や生物学的プロセスなど
※2016年法改正により、既知の物、または既存の化合物の新たな形態であって顕著な改良が無く既存の化学構造からなるものの新たな用途(第二用途/第二医薬用途)の発明は、特許の保護対象から除外されることとなった。
先願主義
同一発明については最先の出願人のみが特許権を取得できる。
出願言語
インドネシア語
出願に関する料金
出願料金
基本料金: 575,000IDR(単位:インドネシアルピア)
10個以上の各クレーム 400,00IDR
書類追完料金: 200,000IDR
実体審査請求: 2,000,000IDR
*料金は最新のものではない可能性があることにご留意ください。
出願審査請求制度
出願日から36月以内に請求可能。
2016年法改正により、実体審査請求または出願公開期間のいずれか遅い方から30ヶ月以内に特許可否の決定がなされるべき旨、規定されている。
早期審査制度
2019年5月31日まで特許ハイウェイ(PPH)の試行プログラムを申請可能。
ASEAN特許審査協力プログラム(ASPEC)も利用可能。
外国で出願された対応出願(US、EP、JP、KR、CN、GB、DE、FR、AU、SE、AT、NL、CAなど)を利用した「修正実体審査」により審査の早期化を図ることができる。
新規性喪失の例外規定
出願前6月以内の次の場合は、その発明は既に公表されたものとはみなさない。
・その発明が、インドネシア国内外の国際博覧会、又はインドネシア国内の全国博覧会で提示された場合。
・その発明が、研究開発目的の実験でその発明者によりインドネシア国内ですでに実施された場合。
出願前12月以内に守秘義務違反で他のものがその発明を公表した場合も、その発明は既に公表されたものとはみなさない。
クレーム/明細書の記載要件
・クレームの記載要件
クレームは明瞭且つ簡潔なものでなければならず、明細書によって裏付けされていなければならない。クレームは先行技術を区分した2パートフォームによって記載しなければならない(規則25(1))。
マルチクレーム、マルチのマルチクレームは認められている。
・明細書の記載要件
明細書は、その発明の属する分野の当業者がその発明を実施することが可能なように、明確かつ十分に開示、説明しなければならない(特許法第25条(2))。
発明の単一性
特許出願は、1つの発明または単一正を有する複数の発明についてすることができる(特許法第21条)。
相互に関連しているクレームも発明の単一性があるとみなされる(規則27)。
補正の制限、機会
拒絶理由が通知された場合、指定期間内に補正可能。ただし、原出願で申請された発明の範囲を拡大するものではないことが条件。
拒絶理由通知に対する応答期間
通常3ヶ月。請求により2ヶ月延長可能。延長費用を払うことで更に1ヶ月の延長可能。
出願公開制度
出願日(優先権主張の場合は優先日)から18ヶ月経過後に出願公開される。
分割出願の可能時期
自発的にまた拒絶理由通知の応答期限内に分割出願可能。自発的な分割出願は、実体審査の終了まで可能。
加盟している条約
パリ条約、PCT、TRIPs協定
優先権主張出願について
パリ条約に基づく優先権主張可能。
変更出願
特許から小特許※に、またはその逆に変更出願可能(特許法第37条)。
※「小特許」は日本の実用新案制度と類似した物品の形状等を保護対象とし、新規性の有無の審査により登録要件が判断される。
新規性の判断
発明が、出願日又は優先日前に、出願に係る発明が世界のいずれかの場所において公知、公用又は刊行物に掲載されていないこと(絶対的世界主義)。
出願後に、出願公開された先の出願の明細書等に記載された発明と同一発明についての後の出願は、出願人が同一か否かに拘わらず、特許を受けることができない(日本国特許法第29条の2とは相違)。
不服の申立
拒絶査定に対して、出願人は査定通知の発行日から3ヶ月以内に、特別特許審判委員会に対して審判請求可能。
特許権の存続期間
出願日から20年間。
異議申立制度
2016年改正により特許付与後の異議申し立てが可能となった。
何人も出願公開の日から6ヶ月間、情報提供可能。
無効審判制度
特許の取消訴訟が可能。
小特許/実用新案制度の有無
小特許制度あり。新規性と産業上の利用可能性のみ実体審査され、進歩性は審査されない。
その他
PCT出願の国内移行手続きの期限は、優先日から31カ月。ただし、手数料を納付することにより32カ月まで延長可能。