タイ特許制度の概要

タイ特許制度の概要

発明の保護対象

新規な製品又はプロセス、あるいは製品又はプロセスの何らかの改良に結びつく発見または発明。

先願主義

先願主義が採用されている。

出願言語

すべての外国語で出願可能。出願から90日以内にタイ語の翻訳文を提出する必要がある。外国語出願をするには、項目10の優先権主張出願であることが条件。

出願に関する料金

出願料:500THB(タイバーツ)
審査請求料:250THB 

*料金は最新のものではない可能性があることにご留意ください。

 

出願審査請求制度

あり。
出願公開から5年以内に審査請求が可能。出願時には審査請求できない。
期間内に審査請求をしなかった場合には、出願は放棄されたものとみなされる。
対応外国出願の審査結果の提出が必要。翻訳は不要。

新規性喪失の例外規定

あり。以下の行為によって新規性は損なわれない。

・不法行為等による出願日前12ヶ月以内における発明の開示。
・出願日前12ヶ月以内の発明者による発明の開示のうち、国際的または公の博覧会における発明の開示。

 

補正の機会

係属中の特許出願は補正できる。
ただし、出願公開後に補正する場合は長官の許可が必要。オフィスアクション受領日から90日以内に意見書・補正書の提出が可能。意見書・補正書の提出期間は30日間の延長が認められる。

補正の制限

出願時の出願の範囲を拡張したり発明の本質的要素を追加したりする補正は認められない。

出願公開制度

出願が方式要件を満たしていれば出願人に特許出願の公開が命じられ、60日以内に出願公開手数料を支払うと出願が公開される。
出願公開の効果として、発明が仮保護される。特許付与後には、公開日から生じた侵害について、侵害者が出願について認識していた場合か侵害を書面で通知していた場合を条件として、侵害者に賠償請求をすることができる。

分割出願の可能時期

特許出願人は、審査により発明の単一性の要件が満たされていないことが判明した場合に、出願を分割するよう要求される。出願人は通知から120日以内に分割出願をすることができ、分割出願をすると親出願の出願日が適用される。
また、出願を分割するようにとの特許庁の要求に対して、120日以内に不服申立をすることもできる。

優先権主張出願

タイは2008年8月2日にパリ条約に加盟したので、パリ条約に基づく優先権主張出願ができるようになった(従前は、タイの出願人に対して相互主義を認めている国(日本も含まれる)の国民については、基礎出願から12ヶ月以内に優先権主張出願をすることができた)。また、現在は、WTO加盟国であれば、どの国の出願からでも優先権主張が可能になっている。優先権書類を優先日から16ヶ月以内に提出する必要がある。
2009年9月24日にPCT加盟国となり、PCT出願も可能になっている。

出願変更

タイには通常の特許出願のほかに実用新案に類似する小特許出願があり、特許出願と小特許出願との間で相互に出願変更が可能。
特許出願から小特許出願への変更は出願が公開されるまで、小特許出願から特許出願への変更は小特許が付与されるまで。

新規性の判断

国内において公知、公用でないこと(公知・公用については国内のみ)。国内外で刊行物に記載されていないことが要求される。
なお、コンピュータプログラムは特許されないが、ビジネスモデルは、特許され得る。

拒絶査定に対する不服申立

出願の拒絶に対して60日以内に特許庁に不服申立をすることができる。

特許料の納付時期

特許についての年金は、出願日から5年目以降の各年について支払うものとされている。

特許権の存続期間

特許の存続期間は出願日から20年。存続期間の延長制度はない。
小特許の存続期間は出願日から6年で、2年ごとに2回まで延長できる。

異議申立制度(付与前異議)

出願公開日から90日以内に利害関係を有する第三者が異議申立できる。

無効審判制度

利害関係人および検察官は、発明特許または小特許の無効を管轄裁判所に申請できる。

その他

パリルートの出願及び通常出願では、譲渡証の提出が必要(PCT移行出願では譲渡書不要)。個人発明の場合、譲渡証の代わりに出願証明書の提出が必要。
委任状、譲渡証、出願権証明書の提出期限は、パリルート出願又は移行日から90日に加え、30日間の延長が認められていたが、2015年7月21日発効の法改正以後は期間延長が認められなくなった。
方法や物質も小特許(日本の実用新案に相当)の保護対象になっている。小特許出願では新規性があれば進歩性がなくても登録される。