南アフリカ特許制度の概要

南アフリカ特許制度の概要

発明の保護対象

「発明」の定義は法律で規定されていない。
発見、科学上の理論、数学的方法、文芸、演劇、音楽若しくは美術作品又はその他の美的創作物、精神活動、コンピュータ・プログラム、単なる情報の提示は、特許法により保護される発明ではない(特許法25条)。
人間又は動物の治療方法、診断方法は商業、工業又は農業上の利用可能性がないとして特許を受けることができない。ただし、治療に用いられる組成物については、特許を受けられる。動物若しくは植物の品種、動物若しくは植物の生産のための本質的に生物学的な方法、または当該方法により得られる生産物は特許を受けられない。

先願主義

同一発明については最先の出願人のみが特許権を取得できる。

出願言語

英語又は南アフリカ共和国の他の公用語、パリ条約加盟国の公用語(パリ条約加盟国の公用語の場合は、3カ月以内に証明を受けた南アフリカ共和国の公用語による翻訳文を提出しなければならない)(特許法第30条(6a)、(6c))

出願に関する料金

出願料: 完全明細書を伴う場合590ランド、仮明細書を伴う場合60ランド
     書類追完料金50ランド
出願許可の期間延長料金 18カ月以内50ランド、その後月ごと50ランド、21カ月後(月ごと)145ランド

*料金は最新のものではない可能性があることにご留意ください。

 

出願審査請求制度

なし。実体審査はなく、方式審査のみ(特許規則41)。

早期審査制度

なし。

新規性の判断

特許出願前に国内または国外で公知にされた発明、特許出願前に国内または国外で頒布された刊行物に掲載された発明(特許法25条(6))。

新規性喪失の例外規定

あり。下記の場合に適用可。申請期間の制限はない(特許法26条)。
・ 出願人(若しくは特許権者)又は前権利者が知ることなく、又は同意なく行なわれた開示、使用又は知得。
・ 出願人(若しくは特許権者)又は前権利者が技術的試験又は実験を実施した結果としての開示。

クレーム/明細書の記載要件

・実施可能要件
当該発明に係る技術に熟練した者が当該発明を実施できるよう、発明及び発明を実施する方法を十分に説明し、確認し、かつ、必要な場合は図示し又は例示すること(特許法32条(3)(b))。

・明確性要件
完全明細書のクレームは、明確でなければならず、また明細書で開示される事項に適切に基づくものでなければならない(特許法32条(4))。

・その他
クレームは、いわゆるマルチのマルチが認められる。

発明の単一性の要件

完全明細書のクレームは、単一の発明に基づくものでなければならない(特許法3条(b))。

補正の機会

出願人はいつでも補正を行うことができる。特許付与前、特許付与後は特許庁に補正を申請し、特許付与後で訴訟係属中は裁判所に補正を申請する。

補正の制限

新規事項の導入または補正前の明細書に実質的に開示されていない事項の導入は認められない。補正後の明細書が、補正前の明細書に開示されている事項に適切に基づいていないクレームを含むことになる補正は認められない。

出願公開制度

あり。原則として最先の優先日から18カ月後に公開(特許法43条)。出願の受理が最先の優先日から18カ月以内に公表されるときは、出願書類は公表日から公衆の閲覧に供される。

分割出願の可能時期

出願が特許庁になされた後かつ当該出願が認可される前に,当該出願において開示された事項の一部について同じ出願人により所定の方法で分割出願することができる。無審査主義であり、許可の通知のタイミングが予測できないので、分割出願を考えている場合には、出願時に許可の12カ月延長を請求することが推奨される。

加盟している条約

パリ条約、PCT条約、WTO(ARIPO、OAPIには非加盟)協定、TRIPs協定、ブダペスト条約。
PCT出願の場合、国内移行の期限は優先日から31カ月以内。追加料金を納付すれば、移行期限をさらに3カ月延長可能。

優先権主張出願

・パリ条約に基づく優先権主張出願
・完全明細書を伴う出願又は仮出願に基づく優先権主張出願(特許法31条(1)(a))。先の出願の日から15カ月以内に出願要。

変更出願

出願日から12カ月以内に、完全明細書を仮明細書に変更することができる(38条(1))。

拒絶査定不服審判制度

なし。

特許料および年金の納付

国際出願日から36月が経過した後又はこの経過日の3月未満前に発行される場合は、特許権者は、規則48(1) に基づいて納付するべき更新手数料を、特許法42 条に基づく公告の日から6月以内又は特許法46 条(2) ただし書きに基づきかつ規則48(3) を遵守して登録官が認める更なる期間(延長期間)内に、特許料を納付しなければならない。その後は、毎年の年金を該当納付年以前に納付。

特許権の存続期間

出願日から20年で満了。

異議申立制度

なし。

無効審判制度

なし。ただし、特許の無効を裁判所に申し立てることができる(特許法61条)。

特許権成立後の訂正

可能。補正の項目参照。

小特許/実用新案制度の有無

実用新案制度なし。追加特許制度あり。
追加特許とは、主出願、又は主特許に係る発明に追加、改良、又は変更した新たな特許のことである。
追加特許は主出願、又は主特許から独立した特許であるが、追加特許の権利期間満了日は主特許の権利期間満了日と同じである。