カナダ特許制度の概要

カナダ特許制度の概要

発明の保護対象

特許法2条により、特許登録可能な事由は、"新規かつ有用な技術、方法、機械、製造物もしくは合成物、または技術、方法、機械、製造物もしくは合成物の新規かつ有用な改良をいう"と定められている。不登録事由は、主に、発見や科学的理論、単なるアイデアや、人体・動物に対する治療法、高等生物体やソフトウェアなどとなる。

先願主義

同一発明については最先の出願人のみが特許権を取得できる。

出願言語

英語又はフランス語

出願に関する料金

※( )内はSmall Entityの料金;(単位はカナダドル)
出願料:  400(200)
追完料金: 200(200)
審査請求料金: 800(400)
→PCTからの国内移行で国際調査報告書をカナダ特許庁が作成した場合: 200(100) 早期審査料金:500(500)

最終料金(Final Fee): 300(150)
明細書・図面100頁以上1頁当たり: 6(6)
出願回復料金: 200(200)
年金(各年度): 2-4年次 100(50)
         5-9年次 200(100)
         10-14年次 250(125)
         15-19年次 450(225)

*料金は最新のものではない可能性があることにご留意ください。

 

出願審査請求制度

あり。
出願より5年以に請求要。分割出願の場合は、親出願の出願日から5年以内又は分割出願の出願日から6ヶ月以内に、請求要。
*第三者も請求することができる。

早期審査制度

あり。(2011年3月16日特許規則改正)

・従来の早期審査手続(Special Order)
審査を促進しなければ、請求人(出願人又は第三者)の権利が害される恐れがあると特許庁長官が認める場合には、早期審査手数料の納付と共に請求により、早期審査の対象と なる。この制度は規則改正後も維持されている

・規則改正後導入された早期審査手続(Accelerating prosecution)
出願人が、出願に関する技術が商品化された場合、環境への影響を解決し若しくは緩和し、又は自然環境及び資源を保存する一助となる旨の宣誓書を提出することにより、早期審査の対象とされる。手数料の納付は不要。
*PPH制度もあり

新規性の判断

発明が既に以下の通り開示されている場合は、新規性を有しない。
・出願日より1年以上前に、出願人により又は出願人から直接的か間接的かを問わず知った者により、カナダ又は他の場所において、発明が公衆の利用に供される方法でされた開示。
・優先日より前に、上記で述べた者以外の者により、カナダ若しくは他の場所において、発明の主題が公衆の利用に供される方法でされた開示の場合。

新規性喪失の例外規定

あり。
同一出願人による開示について、1年間のグレース・ピリオドが認められる。

クレーム/明細書の記載要件

・明細書の実施可能要件
明細書にはその発明とその操作又は用途を発明者が考えた通り正確かつ十分に記載しなければならない(法27(3))。

・クレームの明確性要件
明細書の末尾には、排他権を要求する主題を明確かつはっきりした(distinctly and in explicit)用語で定義したクレームを記載しなければならない(法27(4))。

・クレームのサポート要件
クレームは、明確で、簡潔で、詳細な説明で引用されているいかなる文献からも独立して詳細な説明において完全にサポートされていなければならない(規則84条)。

・その他
クレームは、いわゆるマルチのマルチが認められる。

 

発明の単一性の要件

複数のクレームで定義される主題が、単一の一般的な発明概念を形成するように連関していれば、複数の発明を含んでいるとはみなせない(法36)。クレームされている発明群の中に同一の又は対応する特別な技術的特徴を含む技術的な関係がある場合にのみ満たされる。

補正の機会

出願人は、特許査定前であれば、いつでも補正を行うことができる。

補正の制限

新規事項の追加は認められない。

出願公開制度

あり。出願日又は優先日から18ヶ月経過後に公衆の閲覧に供される。(特許法第10条)

分割出願の可能時期と制限

原出願の特許発行前まで分割出願を行うことが可能。

加盟している条約

パリ条約(Paris Convention)、特許協力条約(PCT)、微生物寄託の国際的承認に関するブダペスト条約(Budapest Treaty)、国際特許分類に関するストラスブール協定(IPC Strasbourg Agreement)、世界貿易機関を設立するマラケシュ協定(WTO協定)、貿易関連の側面に関する協定(TRIPS協定)

優先権主張出願

パリ条約に基づく優先権主張出願

変更出願

不可。

拒絶査定不服審判制度

最終拒絶に対する応答により拒絶が撤回されない場合、出願は特許審判部に送付され、レビューに付される。

特許料および年金の納付

特許査定発行から6ヵ月以内に手数料(Final Fee)の納付要。出願維持年金制度あり (2年次以降)。

特許権の存続期間

出願日から20年で満了。

異議申立制度

なし。

無効審判制度

なし。
ただし、特許の無効を裁判所に申し立てることができる(特許法60条)。

特許権成立後の訂正

不可。

小特許/実用新案制度の有無

なし。