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米国政府監査院(GAO)は、以下の3つの結果報告書を公表した。

  1. 特許品質に関する調査報告書
  2. 先行技術調査の活用に基づく特許品質向上に関する調査報告書
  3. 無作為抽出したUSPTO特許審査官3,336 人を対象に行ったアンケートの結果報告書

<報告書で指摘された問題点>

  • USPTO の施策や運用が特許品質に悪影響を与えている可能性がある。
  • 特許品質の定義や定量化が明確でない。
  • 特許品質の向上のために不可欠な先行技術調査に要する時間の審査における影響を正確に評価していない。
  • 審査施策の評価を行うことができる審判部(PTAB)の決定に関するデータが限られている。
  • 既存の施策が特許品質に与える影響等の分析が行われていない。
  • クレームの明確化のための追加的な手段を導入しなければ、不明確な特許を発行し、特許が訴訟の引き金になる恐れがある。

<報告書の注目すべき記載事項>

  • 2015年5月時点で39%の審査官が5 年以下の審査経験しかない。
  • EPOは、単一のインターフェースで内部データベース及び外部のデータベースを調査することができる。審査官が、複数の同じ記事に当たらないように、同じ内容の記事はグルーピングする機能がついている。
  • JPOは、内部データベースとして、日本語特許文献、外国語特許文献、指定された非特許文献を蓄積しており、外部の商用データベースも毎年利用実績を評価しながら利用可能にしている。
  • JPOでは外部調査機関に引退した技術者若しくは当該技術の専門家を雇用し先行技術の調査を実施しており、彼らの経験が審査の品質を高めている可能性がある。また、審査官が他庁の結果に容易にアクセスできる環境が整えられている。
  • 2012年から設けられている第三者情報提供制度は、年間60 万件ある特許出願のうち約1%に満たない数しか利用されていない。
  • USPTOは、2014-2018年の戦略目標として、新システムの開発及び移行によるITの最適化を掲げている。
  • USPTOの審査官のうち約67%が外国文献を、約20%が外国語非特許文献を頻繁に調査している。
  • USPTOの審査官のうちの67%が十分な先行技術調査を行うための時間が足りないと主張している。また、与えられた時間で最適な証拠を探すことができると答えたのは46%にすぎない。

<GAOの提言>

  • 特許品質の定義の明確化
  • USPTO の戦略目標の一部として計測可能で定量化可能な品質に関する目標及び指標の設定
  • 審査に必要な時間の調査分析
  • 現状のインセンティブ施策による審査の質への影響分析
  • 上級審(PTAB)の審理結果等データの審査部幹部への提供とそのデータ分析に基づく研修、ガイダンス等必要な措置の検討

これらの報告書の公表を受け、下院司法委員会は、USPTO のMichelle Lee長官に対して9月に開催する公聴会で証言するよう要請した。

下院司法委員会のGoodlatte委員長は、「この公聴会は、司法委員会にとって米国知的財産法が公平かつ議会の意図に沿って運用されることを確実にする重要な機会である。」と述べている。

JETRO NY知財部
http://www.gao.gov/products/GAO-16-490
http://www.gao.gov/products/GAO-16-479
http://www.gao.gov/products/GAO-16-478SP