自社のデザインに似た洋服がメタバース内で販売されている場合、販売行為を差し止めることは可能か
Q:
一年前に販売を開始した洋服AがSNSで話題となり、売上が急増した。ところが先日、メタバース内で似たような洋服A´が販売されていることを知った。このような販売行為を差し止めることは可能か?
A:
結論から申し上げると、意匠法では差し止められませんが、不正競争防止法第二条第一項第三号(形態模倣行為)の不正競争行為に該当すれば、差し止めできるかもしれません。
意匠法のメタバース上の保護は、現在「画像」の意匠だけに限り、その「画像」も機器の操作の用に供されるもの等に限定されています。また、現実の「被服」という物品の保護はメタバース上の「被服」にまで及ぶことはありません。
よって、仮に洋服Aの意匠権を取得していたとしても、洋服A´に対して権利行使することができません。
一方、不正競争防止法第二条第一項第三号の「形態模倣行為」については、昨年4月に施行された法改正等により、「商品」がメタバース上の商品まで含まれることになり、「電気通信回線を通じて提供する行為」も、不正競争行為に該当することになったため、洋服A´が、洋服Aを「模倣した」と言えれば、差止請求(第三条第一項)することができます。
なお、洋服Aが販売開始から3年を経過してしまうと、この規定では、差し止めできなくなることに注意が必要です(第十九条第一項第六号イ)。

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