「コンセント制度」とは
Q:
「コンセント制度」とは何ですか?
A:
商標法では、他人の登録商標(以下「先行登録商標」といいます)又はこれに類似する商標であって、その商標に係る指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似するものについて商標登録出願をした場合には、商標登録を受けることができないとされております(商標法第4条第1項第11号)。一方、海外では、先行登録商標と同一又は類似する商標であっても、先行登録商標権者の同意(コンセント)があれば、後で出願された商標であっても併存して登録を認めるという「コンセント制度」が導入されている国がございます。
我が国では、従来、単に当事者間で合意がなされただけでは、併存する類似の商標に関して需要者が商品又は役務の出所について誤認・混同するおそれが排除できない等の理由から、「コンセント制度」の導入は見送られてきました。しかし、新規事業でのブランド選択の幅を広げる必要性や国際的な制度調和の観点から、コンセント制度の導入ニーズが高まってきたことを受け、令和5年6月14日に公布された「不正競争防止法等の一部を改正する法律」に基づいて、商標法における「コンセント制度」の規定が本年4月1日から施行されております。
今回の改正では、商標法第4条に第4項を新設し、同条第1項第11号に該当する商標であっても、先行登録商標権者の承諾を得ており、かつ、先行登録商標と出願商標との間で混同を生ずるおそれがないものについては、登録が認められることになりました。商標法第4条第4項の適用の判断にあたっては、先行登録商標権者の承諾及び両商標の間で混同を生ずるおそれがないことを証明する書類の提出が必要です。この書類が提出されたときは、審査官は、両商標に関する具体的な事情を考慮して、混同を生ずるおそれの有無を判断することとなります。尚、商標法第4条第4項の新設に伴い、商標登録出願が競合した場合の規定である第8条も改正され、同日に二以上の商標登録出願があった場合にも、コンセント制度の利用が可能となっております。
コンセント制度の適用により併存登録された商標に関しては、登録後の混同を防止するために、以下の規定が新たに設けられております。
・混同防止表示請求(第24条の4第1号及び第2号):一方の権利者の使用により他の権利者の業務上の利益が害されるおそれのあるときは、その使用について両商標間における混同を防ぐのに適当な表示を付すべきことを請求することができる。
・不正使用取消審判(第52条の2第1項):一方の権利者が不正競争の目的で他の権利者の業務に係る商品又は役務と混同を生ずる使用をしたときは、何人もその商標登録を取り消すことについて、審判を請求することができる。
さらに詳しい内容をお知りになりたい方は、下記の特許庁HPをご覧下さい。
https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/kaisetu/2023/seidokaise-faq.html
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