商標裁判例


「スカイランタン」の文字を標準文字で表してなる本件商標は商標法3条1項3号及び6号に該当するとして、特許庁は登録を無効とした。これに対して提起された審決取消訴訟において、知財高裁が請求を棄却した事例1

 原告:株式会社エクスプラウド v. 被告:株式会社スターリーナイトカンパニー
 審決取消請求事件

背景
 原告は、「スカイランタン」の文字を標準文字で表してなり、指定商品を第11類「
電球類及び照明用器具,LED照明用器具,クリスマスツリー用電気式ランプ,ろうそく式ランタン,電気式ランタン,LED式ランタン,祭りの飾り用飾りランプ,祭りの飾り用ひも状のライト,あんどん,ちょうちん」とする商標(以下「本件商標」という)について、商標登録出願(商願2021-150729)をした。審査において商標法3条1項3号の拒絶理由が通知されたが、原告は、意見書提出の後、登録査定を受け、設定登録(登録第6633183号)を受けた。
 被告は、本件商標の商標登録を無効にすることについて審判を請求し、特許庁は「登録第6633183号の登録を無効とする。」との審決をした。
 本件は、原告が審決の取消しを求めて知的財産高等裁判所に出訴した事案である。

結論
 知的財産高等裁判所は、本件商標が商標法3条1項3号に該当するとして、原告の請求を棄却した。


裁判所の判断 
 「スカイランタン」の語は、本件商標の登録査定日において、本件商品(底面に開口部があり、中に明かりがともされた薄膜製の略円筒形の袋状のもので、これを夜空に浮かべて景観を楽しむイベント用品)、又はこれと同種の商品(以下、「本件商品等」という)であって、夜空に浮かび上がらせてその景観を楽しむための商品の一般名称であった。

 本件商標の指定商品のうち、「電球類及び照明用器具、LED照明用器具、ろうそく式ランタン、電気式ランタン、LED式ランタン、あんどん、ちょうちん」については、主として照明を目的とした商品と認められ、本件商品等そのものではないが、本件商品等のように、照明の効果を利用した飾りとしても用いることが可能である。他方、「スカイランタン」を一般名称とする本件商品等は、その形状から一種のちょうちん、灯籠、行灯(あんどん)、ランタン(中国風ちょうちん)と説明されることもあり、実際にそのような商品の性質も有している。

 また、本件商標の指定商品のうち、「クリスマスツリー用電気式ランプ、祭りの飾り用飾りランプ、祭りの飾り用ひも状のライト」についても、それ自体が本件商品等であるとはいえないが、照明の効果を利用した飾りとして用いる商品である点で共通する。

 これらの点を踏まえると、本件商標が前記指定商品について使用された場合、出所表示ではなく、その商品の品質、用途、形状を表示したものと一般的に認識されるものと認められる。そうすると、本件商標は、本件商品等の一般的名称である「スカイランタン」を標準文字で表したものであって、これを本件商標の指定商品について使用したときは、その商品の品質、用途、形状を「普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」に当たる。したがって、本件商標は、商標法3条1項3号に該当するから、この点に関する本件審決の判断に誤りはない。

まとめ
 本件商標の無効審判及び訴訟において、「スカイランタン」の使用事例や使用状況を立証するために、非常に多くの証拠が提出されている。それらの証拠は、需要者又は取引者が各指定商品について「スカイランタン」の語を一般名称として使用していたことを裏付けるものであり、特許庁及び裁判所はそれらの証拠に基づいて上記の判断を下している。

 本件指定商品のうち、「電球類及び照明用器具」や「クリスマスツリー用電気式ランプ」について「スカイランタン」が一般名称であるという判断は、一見難しいようにも思える。しかし、本件で提出された証拠の中には、本件商品を照明の効果を利用した飾りとして使用している例や、クリスマスイベントにおいて本件商品をクリスマスツリーの形状に浮かべた使用例について示すものも含まれていた。それらの証拠によって、上記指定商品についても「スカイランタン」が一般名称として使用されていることが認められたと考えられる。本件で提出された証拠は、本件商標がすべての指定商品について一般名称であると認定できるほどに、適切な内容かつ十分な数であったと推測される。

 商標法3条1項3号の該当性については、需要者又は取引者の一般的な認識が問題となる。商標法3条1項3号を主張する側の立場では、その一般的な認識を十分に裏付けるべく、適切な内容の証拠を可能な限り多く提出することが重要である。



1令和6年(行ケ)第10110号 知的財産高等裁判所、令和7年5月29日判決

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