苺の王様「あまおう」、種苗法 育成者権切れへ これからは商標権で保護
今回は、苺ブランド「あまおう」について、「育成者権」が先月で切れたため、これからは商標権だけで保護することになると福岡県知事が発表したニュースについて、紹介します。

出典:JA全農ふくれんHP 「博多あまおうのこだわり」
(https://zennoh-fukuren.jp/hakata-amaou/kodawari/)
皆さんは、苺の王様「あまおう」というブランド苺をご存じですか?
私は親戚が福岡で農家をしており「あまおう」を送ってもらうことがあるため、よく知っています。
なお、「あまおう」とは、上図にあるように「あかい」「まるい」「おおきい」「うまい」の頭文字をとって名付けられた福岡県特産の苺のブランド名です。
この「あまおう」ですが、2025年1月19日に種苗法の「育成者権」が切れて、誰でもこの苺の苗を生産(増殖)等することができるようになりました。
ここで、「育成者権」とは、種苗法の下、品種登録制度で認められた権利で、一定の要件を満たす植物の新品種を、農林水産省に登録することで与えられる権利で、知的財産権の一つです。育成者権を取得すると、他人が勝手に登録品種の種苗の生産(増殖)等を行うことができません。
「あまおう」は、2005年1月19日に品種登録されたため、20年を経過した先月19日に、育成者権が消滅しました(なお、法改正後は25年又は30年で消滅)。
特許権同様、育成者権が有限なのは、種苗法が農林水産業の発展に寄与することを目的としているため、古い品種が保護されると、農林水産業の発展を阻害するからです。
一方、「あまおう」の商標権は、全国農業協同組合連合会によって登録(商標登録第4615573号)されています。商標自体は二段併記「あまおう 甘王」で、指定商品「果実,野菜,苗」で登録されています。
なお、全国農業協同組合連合会は、実際にパッケージ等に使用されている商標「博多あまおう」についても、指定商品「果実,野菜,苗,等」で登録(商標登録第5042710号)しています。これは、不使用取消審判(商標法第50条)で、商標権が取り消されるリスクを回避するためだと思います。
もっとも、これからは、他県でも異なる名称で、「おまおう」と同じ苺を生産しても良いことになります。福岡県の苺農家さんは、より良い「あまおう」を消費者に届けて頂ければと思います。
以上
