立体商標「バーキン」に類似する? 「カエルバーキン」を販売した経営者が逮捕される

 愛知県警は9月5日に、商標権(立体商標)違反の疑いで、京都市内の衣料品販売店の経営者を逮捕し、送検したと発表しました。今回の知財ニュースは、この事件について取り上げます。

       ①                      ②                   ③

出展:① https://www.chunichi.co.jp/article/1141850・ ③ https://www.sandyshorecottages.com/89794115883.htm

 上の3つのバッグのうち、①が侵害品で、②が「バーキン」の立体商標の権利内容です。
 ここで、立体商標の類否判断ですが、基本的には通常の類否判断に沿って「外観、観念、称呼」で判断されますが、立体商標の特殊性から「外観」を重視して判断されるようです。なお、裁判例として、エルメスハンドバッグ立体商標事件(東京地判令和5年3月9日(令和3年(ワ)第22287号))があります。

 今回、愛知県警は①のバッグが②のバッグに類似するとして経営者を逮捕しましたが、ネット等の書き込みによると、実は、第三の商品である③「READY MADE」というブランドのバッグの方が、②に類似するのではないか、との疑問が上がっているようです。
 そこで調べてみると、確かに①よりも③の方が②に類似しており、なぜ、③がお咎めなしで流通して、①が侵害品になるのか?という疑問が湧いてきます。これは、専門家である弁理士の多くが私と同じように疑問を持つと思います。

 1つの可能性としては、③が②の権利者であるエルメスからライセンスを受けている可能性です。もっとも、この点、当事者しか分からないので確認のしようがありません。 

 もう1つ、私が気になったのが、今回の逮捕が「刑法の謙抑性」に反しないかということです。刑罰は、個人の人権を制限する強力な手段であるため、その適用には慎重さが求められる、という原則に反しないか、という疑問です。
 前述したように、①が②に類似すると判断する弁理士は多くないと思います。それでも、今回、警察は経営者個人を逮捕している。検察がこの事件を起訴するか、現時点で分かりませんが、この事件については弁理士としてフォローしていこうと思います。
 

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