法務省の検討会、「声」をパブリシティー権の1つと明記した報告書(案)を了承
今月は、法務省の検討会が、先月27日に「声」をパブリシティー権の1つと明記した「報告書」(案)を了承したことについて紹介します。今月にはその「報告書」が正式に発表になるようです。
出典:法務省HP(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00412.html)
近年、生成AIの発展により、有名な声優の方などの「声」を勝手に利用して動画等を作成してSNS等にアップし、収益を上げている事例が多く見られます。昨年末には、ある著名な声優の方が権利侵害されたとしてSNS運営会社を提訴しました。
そこで、法務省は今年4月から有識者を集めて、検討会を複数回開催して、今回「報告書」を取りまとめました。そして、検討会はその「報告書」を了承しました。
この「報告書」のポイントは、
1.「声」はパブリシティー権の1つで、生成AIで作られた画像や音声は権利侵害になる可能性がある。
2.その判断基準は「顧客吸引力」の有無で、集客や販売促進を図る行為は権利侵害になりうる。
3.有名人の声を使用したボイスメッセージなどが該当する。
4.ものまねは原則として該当しない。
5.損害賠償請求や差し止め請求が可能である。
と、いうことです。
なお、前提として肖像権とパブリシティー権は異なります。肖像権は人格的利益から導かれるもので、誰もが有します。一方、パブリシティー権は経済的利益から導かれるもので、有名人など限られた人しか有しません。このため、生成AIで作られた「声」が、自分の声に似ているからと言って、誰もが、差し止めや損害賠償ができるわけではありません。
今回は、民事責任だけが検討されていますが、刑事責任についても検討すべきとの声があるようです。もっとも、その場合は、今回のような「報告書」ではなく、罪刑法定主義の観点から、立法手続きが必要になると思います。
