業務改善プラットフォームを用いて自社開発したシステムを特許権で保護することは可能か?

Q:
 業務改善プラットフォームを用いて社内の売上管理システムや人事考課システムを自社開発しました。いいものができたのでこれらのシステムの外販を企画しています。
 その前に特許権でしっかりと保護しておきたいのですが、既存の業務改善プラットフォームを利用しただけなので、進歩性の面で難しいでしょうか。

A:
 近年、ノーコードでシステムを構築可能な、いわゆる業務改善プラットフォームが様々な企業で活用されています。業務改善プラットフォームを用いることで、従来は外部のシステム会社に依頼しなければ構築できなかったシステムを自社の社員によって構築することができ、しかも、構築後の変更・改修も自社で柔軟に行えるので、システムの構築から運用までの費用を大きく削減することができます。

 業務改善プラットフォームでシステムを構築する場合、一般的には、予め用意された各種機能ブロックをドラッグ&ドロップによって配置し、ブロック同士を連携させます。
 欲しい機能に応じて、機能ブロックの種別を選択し、選択した機能ブロックの位置を決定し、機能ブロック同士を連携させるという一連の操作を行うことでデータの入力、演算、蓄積、出力が可能なシステムを簡単に構築できます。

 この特性を考慮すると、業務改善プラットフォームを使用して売上管理システムや人事考課システムを構築することは、業務改善プラットフォームが当初から当然に想定している事項であって、そのこと自体に進歩性があるのか、疑問に思うところです。
 つまり、業務改善プラットフォームを発明の前提とした場合、欲しい機能を実現するために必要な機能ブロックを適宜配置し、連携させていくことは、当業者が通常の創作能力の範囲内でなし得る事項ではないかということです。

 発明をこのように捉えてしまうと、特許になるものもならなくなってしまいます。
たしかに、業務改善プラットフォームを前提としたクレームにしてしまうと、審査官が先述のような進歩性無しとの拒絶理由を通知する可能性が高いと推測しますが、業務改善プラットフォームを前提とせずに、機能ブロックの自由な配置と、機能ブロック同士の自由な連携環境も発明の一部に組み込み、その環境をうまく利用してデータの入力から出力までに特徴を持たせ、さらに、ブロック同士の連携が視覚化されていることによるシステム検証の容易性等も作用効果として主張することで、業務改善プラットフォーム関連出願に進歩性が認められるケースが実際にありました。

 したがって、業務改善プラットフォームを利用しただけという理由で出願をあきらめるのではなく、出願にあたってのロジックに工夫を凝らし、ぜひとも有用な特許権を取得していただきたいと思います。

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