「我が国の知的財産制度が経済に果たす役割に関する調査報告書」について
令和8年3月、特許庁は「我が国の知的財産制度が経済に果たす役割に関する調査報告書」を公表しました。本調査は、企業の出願動向や知財戦略を分析し、知財と企業の競争力との関係性を明らかにするものであり、企業の知財戦略や日本の知財政策に役立つ資料として活用されます。
令和7年度は、以下の3つの調査結果が公表されています。
(1)環境関連発明が企業の市場における評価に与える影響の分析
本分析では、日本の上場企業のデータをもとに、GX特許や環境関連R&Dが企業価値に与える影響が検証されました。その結果、GX特許は「量(出願件数)」ではなく「質(被引用件数)」が企業価値や企業業績を高める主要因であることが示されました。
(2)知財ポートフォリオが企業パフォーマンスに与える影響の分析
本分析では、量(出願件数)と質(被引用件数)に加え、特定の分野への集中及び特化が、企業パフォーマンスに与える影響が検証されました。その結果、単に出願件数ストックを増やすよりも、質の高い特許を蓄積することが収益性向上に結び付きやすいことが示唆されました。また、分野の「探索(多様化)」と「深化(選択と集中)」のバランスやその選択が知財戦略上で重要であることも示されました。
(3)知的財産制度に関連する国内外の計量経済学的研究の調査
知財制度に関する国内外の計量経済学的研究が収集され、日本国特許庁の制度設計や審査運用の改善に向けた情報が取りまとめられています。
今回の分析結果から、企業の知財戦略において「量より質」がより一層重要となっていることが示されました。生成AIの活用により、短時間で大量の出願書類を作成することが可能となりましたが、単なる出願の量産は企業価値の向上には結び付きません。効率化が進む今だからこそ、「量より質」を再認識し、質の高い特許を意識した知財戦略を取れるかどうかが、これからの企業の競争力を左右する大きなポイントになるのではないかと考えます。
令和7年度 我が国の知的財産制度が経済に果たす役割に関する調査報告書
https://www.jpo.go.jp/resources/report/sonota/keizai_yakuwari.html
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