ユニクロが「SHEIN」を不正競争防止法違反で提訴

 今回の知財ニュースは、ユニクロが、中国のファッション通販サイト「SHEIN」でショルダーバッグの模倣品が販売されているとして、運営会社など3社を東京地方裁判所に提訴した事件についてです。


出典:「ロケットニュース24」のHP https://rocketnews24.com/2024/01/24/2161123/

 ユニクロは、今回、不正競争防止法違反を理由として訴えを提起したようですが、第2条第1項第1号(周知な商品等表示の混同惹起)か、第2条第1項第3号(商品形態を模倣した商品の提供)かで、訴訟を提起したものと思います。

 しかし、何れも権利行使する際に制限があり、第1号では「需要者の間に広く認識されている」という周知性の要件が必要で、第3号では「日本国内において最初に販売された日から起算して3年を経過」していると、権利行使が認められません。

 そこで、権利行使に制限がない意匠権で権利行使ができないのか?と思い、ユニクロ(親会社のファーストリテイリング)の意匠権を調べてみましたが、このバッグの意匠権はありませんでした(ファーストリテイリングの意匠権は、2024年2月2日現在、全部で21件しかありません)。

 IR情報で「知的財産権を尊重し、事業活動を推進しています」と謳うならば、ユニクロには、確実に商品を意匠権で保護した上で、権利行使をして欲しかったです。

 一方、上の出典先「ロケットニュース24」には、両者のバッグを比較した記事が載っていますが、「SHEIN」のバッグが、399円といくら安くても、ユニクロのバッグが圧倒的に優れているので、「買うことはない」と結論付けています。

 ということで、個人的には、ユニクロのバッグが商品的に優れているのであれば、賢い消費者は、「SHEIN」のバッグには流れないと思います。

 こうしたことを考慮すると、ユニクロの訴訟提起は果たして意味があるのか?という素朴な疑問が生じます。
 日本のプライム市場で、時価増額が6位であるファーストリテイリング(ユニクロ)には、知財戦略についても横綱相撲を取って欲しいものです。

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