「特許庁ステータスレポート2024」が発行される
今回の知財ニュースは、3月末に特許庁から発行された「特許庁ステータスレポート2024」についてです。
なお、特許庁はこうした報告書として、毎年夏に「特許行政年次報告書」を発行していますが、「特許庁ステータスレポート」は、最新の特許庁の統計情報と政策の成果を迅速に発信することを目的としているのに対し、「特許行政年次報告書」は、知的財産をめぐる国内外の動向と特許庁の取り組みをまとめたもので、企業等の知的財産活動までその対象とするものです。
このため、最新の出願状況は「ステータスレポート」で確認する方が早いと言えます。
出典:特許庁HP https://www.jpo.go.jp/resources/report/statusreport/2024/matome.html
上図は「ステータスレポート2024」で発表された出願件数の推移を示した図で、左図が特許、右図が意匠です。
特許については、コロナ過で30万件を切っていた状況から、昨年、4年ぶりに30万件を超えています。一方、意匠については、2021年に法改正で僅かに増えたものの、減少していることが分かります。
個人的には、意匠は法改正によって保護対象が広がりまた権利期間も長くなったことで、もっと出願件数が増加しても良いと思いますが…、一般的には、意匠は特許に比較して権利範囲が狭く、権利行使しにくいと思われているため、このような結果なのかな、と思います。
昨年、特許の出願件数が増加した点は、知財業界にいる者として、素直に嬉しいですが、企業の考え方が「出願は量から質」に変わっていることから、これから大幅に増加していくことはないだろうと思っています。
こうした出願件数の推移を通じて、知財担当者としては、自社の出願動向と自分自身の仕事の内容を確認、検討することも大事だと思います。
数年前から、知財業界では「IPランドスケープ」という活動がブームのようになっています。もっとも、この活動だけが新しい知財業務ではありませんが、出願業務が出来れば大丈夫、という時代では既になくなっているように思います。