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それが前田特許事務所です。

昨年12月初旬に世界知的所有権機関(WIPO)は、2017年度の特許の出願件数の調査結果を発表しました。それによると、全世界で出願総件数は316万8900件で、前年の312万5100件に比較して4万件強程度の増加で過去最高の出願件数だったようです。

こうした出願件数の増加をけん引しているのは、1位の中国で、17年の特許出願は138万1594件、前年から14.2%増えて全体の43.6%を占めています。そして、2位が米国で60万6956件(前年比0.2%増)、3位が日本で31万8479件(前年比0.03%増)です。中国の出願件数の伸びが、他の国々と明らかに違うことが分かります。

 

この原因ですが、中国の状況に詳しい弁理士によると、国の経済発展もあるが、国による施策が大きいだろう、とのことでした。
知財に強い国に変貌するために、中国政府は、大学等に出願の目標値を与えると共に、企業には明細書作成の弁理士費用に補助金を与えるという施策を行っています。
もっとも、これからは出願の質が考慮されるため、特許査定を受けたもののみを補助金の対象にするとの方針転換をしているそうです。しかし、この勢いは変わらないだろうと、前述の弁理士は言っていました。

過去、日本は、1970年代から2000年の初頭まで世界1位の出願件数を誇っていました。しかし、その後、リーマンショック等の影響もあり、件数が徐々に減少していき、2005年に米国に世界1位を明け渡し、2010年には中国にも抜かれ、現在世界3位に甘んじています。
2000年初頭に小泉政権で知財立国が叫ばれましたが、その直後から出願件数が減少している状況を考えると、そのときの掛け声が虚しく感じます。

私が企業の知財部に勤務していた時代、世界1位の出願件数があったので、自動車や電気系の出願をするときに「日本の特許調査をすれば先行技術としてほぼ足りる」と言われていたのですが、こうした時代が懐かしいです。

しかし、現在の中国の出願件数を考えると、中国が脅威になったことは明らかです。これから、特許事務所や知財担当者は、中国を意識しつつ日々の知財業務を行っていくべきだと思います。

知財支援室 弁理士 大石 憲一


前マガ2019年1月号掲載
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