2020.11.4.【コラム】/ 商標権を早く取得するためには

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 商標の早期権利化には、出願人からの申請を受けて審査を通常に比べて早く実施する早期審査制度が利用可能です。
 通常、商標出願をしてから審査結果が通知されるまでに1年程度要するところ、早期審査制度を利用することにより、審査期間を2ヶ月程度に短縮することが可能です。また、早期審査制度の利用に関しましては、特許庁へ支払う印紙代は不要です。

 早期審査制度は、出願人等が、出願商標を指定商品・指定役務に使用しているか又は使用の準備を進めていて権利化に緊急性を要する出願である場合に利用可能です。但し、新しいタイプの商標(動き商標、ホログラム商標、色彩のみからなる商標、音商標及び位置商標)や、立体商標の一部については、当面、早期審査の対象外となっております。

 具体的には、以下の(1)~(3)のいずれかに該当する商標登録出願が早期審査の対象となります(既に出願されているものも対象となります)。


(1)出願人又はライセンシーが、出願商標を指定商品・指定役務の一部に既に使用していて(又は使用の準備を相当程度進めていて)、且つ、権利化について緊急性を要する案件(「緊急性を要する」には、
 (a)第三者が出願商標を無断で使用(使用準備)している
 (b)出願商標の使用(使用準備)について第三者から警告を受けている
 (c)出願商標について第三者から使用許諾を求められている
 (d)出願商標について日本以外にも出願中である
 (e)早期審査の申出に係る出願をマドプロ出願の基礎出願とする予定がある
のいずれかが該当します)

(2)出願人又はライセンシーが、出願商標を既に使用している商品・役務(又は使用の準備を相当程度進めている商品・役務)のみを指定している案件

(3)出願人又はライセンシーが、出願商標を指定商品・指定役務の一部に既に使用していて(又は使用の準備を相当程度進めていて)、且つ、「類似商品・役務審査基準」等に掲載されている商品・役務のみを指定している案件

 以上のように、早期審査制度を利用すると、実際に商標を使用中か、製品発注など商標の使用の準備を進めている商品やサービスしか指定商品・役務に指定できない場合があります。この場合、通常の商標出願より、権利範囲が狭くなる可能性がありますので、将来的にその商標を使用して幅広い事業展開を行う予定がある場合等には注意が必要です。

 尚、出願商標をすでに使用している(又は使用の準備を相当程度進めている)という早期審査制度の利用条件を満たさない場合、指定商品・指定役務の記載が一定の条件を満たせば、手続不要で出願から約6か月で最初の審査結果通知が行われる「ファストトラック審査」が利用可能です。

 さらに詳しい内容をお知りになりたい方は、下記の特許庁HPをご覧ください。

■特許庁
https://www.jpo.go.jp/system/trademark/shinsa/soki/shkouhou.html
https://www.jpo.go.jp/system/trademark/shinsa/fast/shohyo_fast.html

(知財支援室 弁理士 間脇 八蔵)
メールマガジン「前マガ」 2020年11月号(Vol.104)掲載

 

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